研究概要 |
脊椎疾患の診断・手術支援に利用可能な拡張現実感技術に関しては,まず,X線撮像装置で唯一鮮明に撮影できる骨の輪郭線形状を重視した高精度レジストレーション手法について検討した.3次元自由曲面に対し,その輪郭形状に基づき位置姿勢を高速に推定する技術の高精度化やステレオ撮影による高精度化を試み,基本技術を確立した.厳密な精度評価を行うための手法についても検討し,生ブタ(体重約40kgのSPFブタ)を用いた実験によって,多少改善の余地は残されたものの,その妥当性を確認した.さらに,体内組織の変形などを高精度に推定する物理シミュレータの構築に向け,関連研究の調査を行い,本問題への適応可能性を検討した. 原子力プラントの保守点検作業などの支援に利用可能な拡張現実感技術に関しては,まず,画像中に観測されるハイライト情報からカメラ位置姿勢を高精度に推定する技術に関して検討した.環境中の照明物体として点光源・線光源に対応可能なリアルタイムレンダリングアルゴリズムを改良し,鏡面反射物体に映り込むハイライトを高速に計算するアルゴリズムを開発し,それを用いたシミュレーションから,カメラの位置姿勢の変化を推定するアルゴリズムを考案し,その基本的性能を確かめた.精度に関しては予想範囲内の結果が得られたが,実効速度においては満足の出来る結果を得ることが出来ず,その点で課題が残った。また,新たな拡張現実感情報提示手法に関して,実物体へのプロジェクタによって情報を投影する方式について検討および実験を行い,特にハンドヘルドシースルーディスプレイにおける視点位置のずれの影響を軽減するアイデアを考案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りの研究を実施できた.アイデアの検討などに関しては,満足のいく成果が得られたと思われる.ただし,その評価を実施するための方法において,病院内での設備への適合性などで多少検討事項が残された.しかし,大きな問題とは考えられず,今後の研究計画に影響を及ぼすものではない.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通りに実施できると考えている.ただし,本研究計画の策定は福島第一原子力発電所事故以前であり,そのような破壊されたプラントにおける作業支援は想定していなかった.しかし,その問題の重要性を鑑み,破壊されたプラントでの作業支援も考慮に入れた手法の検討も可能であれば行いたい.
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