研究概要 |
本研究では,ネットユーザの情報信憑性判断を支援し,その能力を育成するヘルスリテラシー支援環境の研究開発を行うもので,本年度は次の3つの研究項目に取り組んだ. (A)相対言論空間生成(乾,岡崎,渡邉) ・医療・健康情報に関連するWeb文書を数百万ページの規模で収集したドメインコーパスを用意し,これと医療関連知識ベースであるライフサイエンス辞書を用いて,種々の言語解析モジュールを医療・健康情報ドメインにチューニングした. ・ドメインコーパスの一部に文脈情報や言明間関係を人手で付与した注釈付きコーパスを作成した.これにより,文脈処理や言明間関係の仕様を医療・健康情報ドメインに適応させる.得られた注釈付きコーパスは,今後モデルの訓練・評価用データとして用いる予定である. ・現在の文間関係認識モジュールを医療・健康情報ドメインにチューニングする. (B)ヘルスリテラシー支援環境(乾,楠見) ・ドメインチューニングした文間関係認識モジュールをベースに想定し,ヘルスリテラシー支援環境の基本設計を行った. (C)ヘルスリテラシーの支援・教育方法(楠見) ・一般市民および患者・家族を対象とする大規模なネット行動調査を行うための種々の準備を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,(A)相対言論空間,(B)ヘルスリテラシー支援環境,(C)ヘルスリテラシーの支援・教育方法の3項目において,いずれも有意味な進捗を見た.(B)と(C)は研究分担者との連携方法の調整に若干時間を要したため,計画より若干遅れ気味であるが,(A)については計画以上に進捗しているため,おおむね順調に進展していると考える.
|