研究課題/領域番号 |
23240018
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
乾 健太郎 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (60272689)
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研究分担者 |
岡崎 直観 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50601118)
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70195444)
渡邉 陽太郎 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (70583326)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヘルスリテラシ- / 批判的思考 / 自然言語処理 / 教育心理学 / 意見分析 / 情報分析 / 含意関係認識 / 情報信憑性 |
研究概要 |
本年度は次の3つの研究課題にて、それぞれ下記の研究開発を実施した。 (A) 相対言論空間生成(乾、岡崎、渡邉) 第1に、言明間関係認識の個々の要素モジュールについて処理速度および精度の両面から見直し、全体に高速化・高精度化をはかった。また、一部の処理を並列化、非同期化し、耐規模性を向上させた。第2に、自然言語文の意味解析を頑健化するための意味の分散表現に関する研究、言明間の関係をより精緻に解析することを目的とした述語論理ベースの推論機構に関する研究をすすめた。言語処理学会第20回年次大会最優秀賞、優秀賞、若手優秀賞を受賞した。 (B) ヘルスリテラシー支援環境(乾、楠見) 上述の文間関係認識エンジンをベースにして、ヘルスリテラシー支援環境のプロトタイプシステムの設計・開発を進めた。大規模なマイクロブログデータ集合に対して情報間の論理的関係をモニタリングし、いくつかの方法で可視化する機構を実現した。これをベースに、マイクロブログ上の意見や情報の流れを分析するケーススタディを実施した。言語処理学会2013年度論文賞、および第26回日本リスク研究学会年次大会優秀発表論文賞を受賞した。 (C) ヘルスリテラシーの支援・教育方法(楠見) 被災県と首都圏の合計877名の20-60代の成人男女に対してネット調査を行い、福島原発事故による放射線リスクに関するネット上の情報を利活用の実態、情報源の信頼性,食品の放射能汚染へのリスク認知と態度、不安、放射能や科学に関する知識(放射能リスクリテラシー)、メディアリテラシー幸福感、批判的思考態度などについて尋ねた。その結果,批判的思考態度が放射能リスクリテラシー、メディアリテラシーと適切なネット上の情報の利活用を促進していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、(A) 相対言論空間生成、(B) ヘルスリテラシー支援環境、(C) ヘルスリテラシーの支援・教育方法の3項目において、いずれも有意味な進捗を得ている。(A)の基盤的研究と(B)の応用的研究の両方において、言語処理学会、日本リスク研究学会から合わせて5件の受賞があり、高い評価を受けている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である26年度は、これまでの成果を総合してヘルスリテラシー支援環境をWeb上のポータルサイトとして実際に構築するとともに、現実の健康に関わる課題を設定し、大学生などを対象とする実証実験を通してシステムの有効性やユーザビリティ、ヘルスリテラシーの向上に及ぼす効果の観点から評価する。
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