研究課題
本研究の目的は、ヒトと動物(特にトリ)による人工文法の学習に関わる能力と制約について行動学的・神経科学的に検討することであった。まず地鳴きという単音節の音声を用いAABというパターンとABAというパターンをヒトとトリ(ジュウシマツ)に学習させた結果、ヒトはパターンを元に学習していたが、トリは音韻を元に学習していたことがわかった。この結果は論文として発表した。次にトリの歌の要素を用いてAABとABBのパターンを作り学習させようとしたが、これを学んだトリはいなかった。そこで、周波数の異なる3つの音を用いて音圧で大小のパターンを作り、トリを訓練した。すると6羽中1羽のトリがこれを学んだ。この1羽について、他の刺激音声についてもテストしたところ、学習が般化した。この結果から、刺激の音圧次元でパターンを作ればトリでもこれを学習できることがわかった。これに続き、トリの大脳高次聴覚野において単一神経活動を測定する実験を行った。総計400ほどの音に応答する神経細胞を同定した。トリの歌から3つの音要素で組を作り、これらをAABまたはABAのパターンで聞かせてみた。AABの組み合わせを頻回、ABAの組み合わせをまれに提示すると、特定の3音チャンクに応答し、かつ他のチャンクにも応答する神経細胞が数パーセントあることがわかった。これら神経細胞の応答を組み合わせる仕組みがあれば、音列からルールを抽出するような計算も可能になろう。これに加え、ABBAおよびABABのパターン弁別を幼児に行わせることを試みた。パターンは単独ではなく意味を持たせた場合に学習は進展した。これらの結果の一部は国際学会で報告された。以上の結果に基づき、3本の総説論文を投稿し、うち2本が受理されている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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