研究課題
本研究の目的は、非意識下におけるワーキングメモリの働きを探索することである。ワーキングメモリの働きにより、目標行動を可能として、高次な思考・学習などの基盤を支えると考えられる。ワーキングメモリの働きは意識的な制御により行われていると考えられるが、本研究では意識レベルが異なるときにワーキングメモリの働きがどのように変化するのかを明らかにすることを目標とした。27年度と28年度は、脳領域の活動を活性化させ、課題遂行を向上させる可能性を試みた。具体的には、子供のような人型ロボットとの交流により、ポジティブ情動を強化することを計画した。課題は身体の動きを伴うため、脳活動は近赤外線分光装置(NIRS)を用いて検討した。意識的制御が加齢により低下すると考えられる高齢者を対象として、意識レベルとワーキングメモリ機能制御の問題について検討した。60、70、80歳台の高齢者を対象として、ワーキングメモリ課題を実施してその遂行成績の変化を検討した。その結果、ポジティブ情動により前頭前野を中心として活性化が高まる結果を得た。一方で、活動が抑制される領域も確認できた。こうした活動増強と抑制の相互作用が、課題遂行に重要であるという知見を得た。さらに、ワーキングメモリ課題実施中のワーキングメモリの脳内機構を明らかにするため、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて脳活動の特徴を調べた。この検討から、意識的制御が困難な状況において、ワーキングメモリの機能制御の特徴を探索した。こうした試みとともに、高齢者のデータを基に非意識下プロセスにおけるワーキングメモリの脳内機構について解明を深めた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 16件、 招待講演 10件) 図書 (4件) 備考 (1件)
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