研究概要 |
(1)東北地方太平洋沖の超巨大地震が発生したため、ETASモデルによる余震活動の継続的なモニタリング解析、日本各地の誘発地震活動の解析を最優先で行い、これに時間を割いて解析結果はそのつど地震予知連などで報告した。また時間ETASモデルや時空間ETASモデルによる前震活動の本震後の静穏化や長期地震活動の日本列島に渡る、且つ10年間に渡る大規模の静穏化を検出した。 (2)東北地方太平洋沖地震で誘発された群発地震の多くがETASモデルでの当てはまりが悪く、その当てはまりの悪さの時間変化を見るベイズ的平滑化を実施できる方式を提案した。また、活動度の外性的影響の量的な変化を見ることができるベイズ的非定常ETASモデルを開発した。 (3)応力場の変動を伴う「繰り返し」地震の発生過程を表現するスプライン型時空間BPTモデルを提案し,「繰り返し」微小地震データを用いて,応力場の変化の推定を行った。提案モデルは,GPS観測が遠く及ばない沖合の海底下におけるプレートの境界での,応力場の変動を推定できる有力な統計的手法を与えた。 (4)当グループが13年前に提案した日本における前震の事前認識の確率予測の方式によって、その後13年間の業務的予報を実施した結果を評価したところ、良好な確率予報になっていることが実証された。これによって今後のリアルタイム予測の展望が開けた。 (5)地震予測可能性に関する国際的な連携プロジェクト(CSBP)で採用されている予測の評価方式の問題点を、東北地方太平洋沖地震前後の確率予測と実際の結果に鑑み、指摘し、改善提案を論文としてまとめた。
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