研究課題/領域番号 |
23240043
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
麻生 英樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (10344194)
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研究分担者 |
橋田 浩一 独立行政法人産業技術総合研究所, 社会知能技術研究ラボ, 研究ラボ長 (00357766)
赤穂 昭太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (40356340)
神嶌 敏弘 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (50356820)
城 真範 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (90357244)
興梠 貴英 国立大学法人東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40401046)
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キーワード | 医療・福祉 / 機械学習 / 統計数学 / 知識表現 / 循環器・高血圧 / 強化学習 |
研究概要 |
初年度である平成23年度には、研究実施計画に記載したとおり、(1)循環器内科臨床情報データベースの整備・拡張と(2)オントロジーの整備・拡張、(3)確率モデルの構築と学習、(4)評価用課題へのモデルの適用、の4項目を実施した。それぞれの項目の実施内容は下記のとおり: (1)臨床情報データベースの整備・拡張 東京大学医学部附属病院を中心に構築されてきた循環器内科情報データベースを基盤として、データベースの拡張を行った。プロジェクトで評価対象として用いる課題=疾患群として、経皮的冠動脈形成術を受けた患者を選定し、循環器内科の医療過程で収集されている各種のデータ(患者の属性、診察・処置・投薬情報、検査結果情報)を抽出し、確率モデリングに適した形に成形した。 (2)オントロジーの整備・拡張と医学知の記述 上記の評価対象課題に即して循環器内科情報データベースに現れる概念を整理して、投薬記述および検査結果記述に用いられる医学用語に関する概念オントロジーを整備した。オントロジー編集用のツールを整備した。 (3)確率モデルの構築と学習・推論アルゴリズムの探索 既存手法であるマルコフ決定過程(MDP)をベースとして、診療過程全体を確率モデル化した。確率モデルを用いて推論=シミュレーションを行うためのツールを構築した。人工的な模擬データを用いてツールの動作の確認を行った。また、患者の差別などにつながるセンシティブ情報が推論結果に反映しないようにするため、公平性の高い学習手法を提案して有効性を検証した。 (4)評価用課題への確率モデルの適用 (1)で抽出したデータの一部である、糖尿病関連の検査及び投薬データにモデルを適用し、各投薬措置の有効性の検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床データの利用に際し、東京大学および産業技術総合研究所の倫理委員会への申請と承認が必要であったため、実験の開始時期がやや遅れたが、後半で研究を加速させたため、おおむね当初の計画どおりに進捗している。また、雇用予定であった人材に適任者が見つからなかったため、計画変更を行い「人件費」を「その他」に振り替え、役務でのソフトウェアツール開発およびデータベース拡張を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初計画のとおり、オントロジーを用いた確率関係モデルの導入を行うとともに、評価対象とする疾患群の種類を増やして検証を行ってゆく。また今年度に構築したツールに新たなデータ分析手法を追加して拡張するとともにマニュアル等を整備して順次公開してゆく。公平性の高い学習手法は医療データのようなセンシティブ情報を含むデータに対して有効であると期待されるため、今後も研究を継続してゆく。
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