研究課題/領域番号 |
23240049
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
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研究分担者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20334675)
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キーワード | TDP-43 / ALS / スプライシング / ナンセンス / mRNA分解機構 / 欠損マウス / ミニジーン / スプライシング因子 |
研究概要 |
本年度は、筋萎縮性側索硬化症におけるTDP-43異常に関連して、以下の研究を行った。 1)神経系におけるTDP-43スプライシング多様体の解析。 TDP-43は、このエクソン6内に、2カ所にイントロンを形成する。それにより形成されるスプライシング多様体の一部は、mRNAのナンセンス依存性分解機構で分解される。しかし、この一部では、ナンセンス依存性分解機構が惹起されず、結果として、C末が異なるTDP-43が産生される。これらの多様体のC末特異的な抗体を作成し、ヒト組織での存在の有無を検討した。その結果その存在を確認した。 2)TDP-43のスプライシングを制御する因子の検討。 mRNA前駆体のスプライシングはmRNA前駆体への抑制因子と促進因子の結合のバランスで制御されている。促進因子の代表的なものとしてSC35、抑制因子としてはhnRNPが挙げられる。TDP-43のエクソン6はこれらの因子の結合領域を多く含む。元来TDP-43はhnPNP結合蛋白であり、スプライシング抑制因子としての役割が推定されている。そこで我々は、TDP-43そのものがTDP-43のスプライシングに寄与すると考えた。スプライシング関連蛋白では、このような自身のスプライシングによる自己調節機序は広く知られており、その周辺塩基配列は齧歯類と比較しても広く保存されていることが報告されている。TDP-43もエクソン6内に齧歯類と広範囲にわたり完全に塩基配列の一致する領域を有しており、同様の機序で制御されている可能性が示唆された。我々はTP-43欠損マウスのヘテロ結合体にてTDP-43のmRNA量が減少していないこと、このマウス由来の線維芽細胞でスプライシング多様体の構成が変化していることを確認した。さらに、TDP-43エクソン6のミニジーンを作製し、これらのスプライシング因子存在、非存在下でのスプライシングを検証し、これを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
剖検組織におけるTDP-43スプライシング産物の検証するために、スプライシング多様体特異的抗体を作成し、その抗体を用いて、ヒト組織でスプライシング多様体を検証し得たため。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に伸展しており、当初の研究計画通りに遂行する予定である。
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