研究課題/領域番号 |
23240049
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
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研究分担者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20334675)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / 神経病理学 / 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 |
研究概要 |
TDP-43のエクソン内でのスプライシングは、このエクソン内に、2カ所にイントロンを形成することで制御されている。最初のイントロン1のスプライシングが極めて多様性に富む。しかし、ここが正確なアクセプター、ドナーサイトを使用しない場合、ナンセンス依存性分解機構が惹起されず 、結果として、C末が異なるいくつかのTDP-43バリアントが産生される。これらのバリアントのC末特異的な抗体を用い、ALS患者剖検組織にて、TDP-43封入体との関連を明らかとした。さらに、TDP-43のスプライシングを制御する因子について検討した。mRNA前駆体のスプライシングはmRNA前駆体への抑制因子と促進因子の結合のバランスで制御されている。抑制因子としてはhnRNPが挙げられる。元来TDP-43はhnRNP結合蛋白であり、スプライシング抑制因子としての役割が推定されている。我々は、TDP-43そのものがTDP-43のスプライシングに関与すると考えた。スプライシング関連 蛋白では、このような自身のスプライシングによる自己調節機序は広く知られている。実際、KOマウスのヘテロ 結合体にてTDP-43のmRNA量が減少していないこと、このマウスの線維芽細胞でスプライシングバリアントの構成 が変化していることを既に確認しており、我々の仮説を支持する結果を得ている。この仮説を検証するために、 TDP-43エクソン6のミニジーンを作製し、これらのスプライシング因子存在、非存在下でのスプライシングを検証した。その結果、この領域のスプライシングを制御するいくつかのスプライシング因子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である、TDP-43のエクソン内でのスプライシングの多様性については、C末が異なるいくつかのTDP-43バリアントを同定し、これらのバリアントのC末特異的な抗体を用い、ALS患者剖検組織にて、TDP-43封入体との関連を明らかとした。これは、当初の予定通り順調に推移している。さらに、TDP-43のスプライシングを制御する因子について検討した。mRNA前駆体のスプライシングはmRNA前駆体への抑制因子と促進因子の結合のバランスで制御されている。抑制因子としてはhnRNPが挙げられる。元来TDP-43はhnRNP結合蛋白であり、スプライシング抑制因子としての役割が推定されている。我々は、TDP-43そのものがTDP-43のスプライシングに関与すると考えTDP-43エクソン6のミニジーンを作製し、これらのスプライシング因子存在、非存在下でのスプライシングを検証した。その結果、この領域のスプライシングを制御するいくつかのスプライシング因子を同定した。この成果も、当初の予定通り順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
神経系におけるTDP-43スプライシングバリアントの解析については、本年は、これらのスプライシングバリアントに特異的なRNA probeを用い in situ hybridizationにてmRNAレベルでの解析を行う。また、レーザマイクロダイセクション法を用い、運動神経細胞から良質なRNAを抽出する方法を確立した。本方法を用い、ALS患者の細胞レベルでTDP-43スプライシン グバリアントのmRNAおよび蛋白レベルでの定量的解析を行う。 TDP-43のスプライシングを制御する因子の検討については、これらのスプライシング因子存在、非存在下でのスプライシングを検証した。その結果、この領域のスプライシングを制御するいくつかのスプライシング因子を同定した。これらの相互関係、および患者剖検組織での、これらスプライシング関連因子の量的及び質的解析を加え、ヒト運動神経での TDP-43のスプライシング管理機構を明らかとし、本研究課題の目的を達成する。
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