研究課題
本研究はALSの分子病態を解明するために6項目の検討事項を設けて研究にあたった。以下、各項目ごとに述べる。1)神経系におけるTDP-43 スプライシングバリアントの解析については、患者脊髄由来cDNAを検討し、TDP-43スプライシングバリアントの検討を行い、そのTDP-43封入体との関連を明らかとした。2) TDP-43のスプライシングを制御する因子の検討については、TDP-43エクソン6のミニジーンを作製し、TDP-43 mRNAに結合する複数のスプライシング因子存在、非存在下でのスプライシングを検証し、TDP-43のスプライシング管理機構を明らかとした。3) ALS10変異がTDP-43スプライシングに与える影響の検討については、一部のALS10変異によって自己のスプライシングが影響をうけるという知見を得た4) TDP-43スプライシングバリアントの蛋白質特性の検討については、本バリアントが易凝集性を持つことを示した。5) TDP-43により制御されるSKAR、U12依存性遺伝子産物のスプライシング異常の検討については、我々はTDP-43の喪失によりスプライシング異常がおこる遺伝子としてSKARを単離した。さらに、今までの解析でALS患者では、核内小体であるCajal小体(CB)が減少していること、同部で成熟が促進されるsnRNAのうちU12 snRNAの減少が認められることを免疫組織化学的、分子生物学的に明かにした。(6) 家族性ALSの原因遺伝子の同定については、孤発性と同一の病理組織及びTDP-43免染所見を示す家族性ALSの2家系3剖検例の一家系からC9ORF72のG4C2リピートの異常伸張を、本邦で初めて見出した。当初の6項目の検討事案について、それぞれ成果を得た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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