研究課題
線維化αシヌクレインを野生型マウスの中脳黒質に接種すると、リン酸化αシヌクレインの異常病理が再現され、それが時間経過と共に広がることが確認された。そこで他の脳部位(線条体、海馬傍回)への接種を行い、接種部位によって病変の形成や広がりが異なるかどうかについて検討した。その結果、黒質、線条体、海馬傍回、それぞれの部位への接種により全く異なるリン酸化αシヌクレインの病変形成、分布が観察されることが判明した。またその分布は、神経線維連絡に沿って広がっていることが観察された。αシヌクレインKOマウスでは、このような病変はまったく検出されなかったことから、接種した線維化αシヌクレインが内在性αシヌクレインを異常に変換することによって病理が形成されることも確認された。さらにレビー小体型認知症患者の界面活性剤不溶性画分(異常αシヌクレインを多く含む画分)を接種した場合にも、同様の病変を形成させることが判明し、異常αシヌクレインがプリオン様の性質を獲得し、正常分子を異常に変換しながら、神経線維連絡にそって広がることが証明された。また、TDP-43についても患者脳に蓄積する異常TDP-43に正常分子を異常型に変換する能力があるかどうか、培養細胞モデルをもちいて検討した。その結果、細胞内に発現した正常TDP-43が患者脳の不溶性TDP-43を導入することにより異常型に変換されることが証明された。TDP-43の病変は疾患の種類、病型により、その蓄積形態や分布、生化学的特徴が異なることが知られていたが、異常TDP-43のもつプリオン様性質により、その病理形成や分布の違いが説明できると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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