研究課題
本研究は自己免疫難病クローン病とヨーネ菌の関連を探る実験モデルの評価を目的に実施された。本年度はヨーネ菌細胞壁脂質抗原(以下EV抗原)および同死菌の全菌体抗原(FM抗原)、同可溶化抗原(SM抗原)、ヨーネ菌総DNA、EV抗原の分画で生物活性が強い抗原分子構造から有機化学合成したlipopeptide IIsの作用を評価した。本年度はマウスの腸陰窩細胞から分離精製した腸上皮細胞可溶化抗原の作用も評価した。また、EV抗原と牛乳の経口感作試験も行った。感作に用いたヨーネ菌各種抗原濃度はEV抗原で最も良好な結果が得られた濃度に相当する菌数に一致させた。感作法については①皮下接種+直腸内接種、②皮下接種+直腸内接種2回、③皮下接種+直腸内接種3回、④皮下接種+腹腔接種+直腸内接種、⑤皮下接種+EV抗原腹腔接種+直腸内接種など様々な条件を設定してそれぞれの対照を設定して実施した。感作7-10日後に直腸内感作し、最終感作後5日目に剖検を実施して後消化管および腸間膜リンパ節の炎症反応、細胞性応答、液性応答の解析をマウス及びラットを用いて実施した。全層性腸炎は二度のEV抗原皮下感作後直腸接種一度が最も重度で、経腸接種を繰り返すと反応は低下した。これは免疫寛容が誘導されたためと考えられた。病変の惹起はEV抗原、可溶化抗原、全菌体抗原、合成抗原の順に強く、小腸陰窩上皮抗原やヨーネ菌DNA感作による病変惹起は弱かった。ミルクとEV抗原を繰り返し経口摂取されたマウスには強いアレルギー症状が観察された。本マウスモデルの現実性を確認するため非IBDの成人の血清中のヨーネ菌特異的IgE抗体の調査を実施したところ、EV抗原特異的抗体が7%ほどの保有しており、かつスギ花粉症を有していた。ヨーネ菌細胞壁のリポペプチド抗原が免疫修飾作用を有しクローン病やアレルギー疾患等の免疫病発生に関与していることを明らかにできた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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