研究課題
DOHaDは成人病胎生期発症仮説と呼ばれ近年注目されている。これまで胎児期に低栄養時のヒトの自閉症やAD/HDといった発達障害や統合失調症などの精神疾患様の表現型の異常(行動異常)を起こすかどうかという検討は明らかでなかった。そこで我々は、マウスを用いて胎児期における栄養条件、特に低栄養が行動表現型に与える影響を、高度に統制された飼育条件、表現型解析プラットフォーム、DNAメチル化の定量、脳組織解析を用いて検討し、発達障害、精神疾患におけるDOHaD仮説の検証を目指した。ICRマウス(母獣)とC57BL/6Jマウス(仔獣)を用いて実験を行った結果、妊娠前の母獣の体重に関しては各群に有意な差は認められず、妊娠後に低蛋白食群(LP)、低蛋白食に葉酸を添加した群(LP+FA)で低下が見られ、妊娠前の血中タンパク質、血中脂質、血糖値などのパラメータにLP群と通常食群との間に差がみられた。また、新生仔の体重に関してはLP群において標準食群と比較して有意に低下しており、LP+FA群は標準食とLP群の中間的な値となった。離乳後の雄個体に関して行動解析を行ったところ、LP群で行動表現型の差異 (物体探索、社会探索行動の減少)が認められた。また、成獣の脳の網羅的遺伝子発現のクラスタリング解析を行ったところ、それぞれの群において特有の発現パターンが見られた。また、同じサンプルを用いて、ゲノムメチル化の相関に関して解析を行ったところ、それぞれの実験区で有意差がありかつ2倍以上の発現量の差が見られる遺伝子において両者のオーバーラップは少なく、相関はなかった。また、CAPS2ヘテロマウスの解析からCAPS2のコピー数多型と他の変異との組合せによる発達障害との関連性、およびインスリン分泌にも関連するCAPS1の条件的欠損マウスの解析から糖尿病とうつ病併発との関連性などを示唆した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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