研究課題/領域番号 |
23240069
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒木 勉 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50136214)
|
研究分担者 |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
橋本 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (70237949)
新岡 宏彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70552074)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 分子イメージング / カソードルミネッセンス / in vivo生体計測 / 顕微分光 / SHG顕微鏡 / コラーゲン |
研究概要 |
複雑系の中から所定の生体分子を生きたまま、リアルタイムで認識し、その形態・高次構造および変化をイメージングする高機能の多次元「分子イメージング顕微鏡技術」を開発し、培養細胞評価や小動物のin vivo計測に応用する。昨年度には高空間分解顕微鏡の開発を目ざし、カソードルミネッセンス(CL)利用の超高分解イメージング計測システムの開発に着手した。現在継続中であるが、これまでにプローブであるナノ発光体を、蛋白質を一つ一つ観察可能な10 nmレベルの空間分解でCLイメージングする事に成功した。 本システムの性能はナノ発光粒子の品質で決まるため、粒子径の迅速に10nm作成する手法を開発した。そこで得られた粒子を実際に細胞に取り込ませていイメージングを行った。この作業は単年度ではなく、全期間にわたって行い、これまでに開発したラマン顕微装置やSHG顕微鏡などへフィードバックし、マルチモーダルイメージングシステムとして発展させることを目指している。さらにSHG顕微鏡では倫理委員会の承認を経て、人に対する皮膚のin vivoコラーゲンイメージングを実施し、加齢によるコラーゲン分布の変化を見出した。さらに培養細胞系の観測においてはMEMS技術によって特性の微小細胞培養チェンバーを設計して、コラーゲンゲルと細胞との機械的な相互干渉を可視化した。また、コラーゲン配向を高速かつ精密に計測できる偏光分解SHG配向イメージングシステムの開発に成功した。 このような分子イメージング顕微鏡は,従来にない全く新しいものであり、理工学分野におけるポテンシャルが高まる。また本手法はライフサイエンス分野のみならず、高機能液晶開発、半導体の品質評価など他分野へも応用できるため波及効果がきわめて大きい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カソードルミネッセンス(電子線照射によって誘起される発光)顕微鏡成功の鍵を握るナノ発光体の安定迅速作成に成功し、細胞に取り込ませてイメージングすることに成功した。 MEMS技術によるマイクロ細胞チェンバーを製作して、細胞の増殖と酸素濃度の関係を計測するなど、独自に開発したSHG顕微鏡の応用性を高めると同時に、偏光分解第2高調波発生顕微鏡を用いたコラーゲン配向状態の定量評価にも成功するなど順調に研究が進展している。またコラーゲン配向を高速かつ精密に計測できる偏光分解SHG配向イメージングシステムの開発に成功するなど順調に研究が進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
CL顕微鏡のさらなる性能向上を目指して、ナノ発光粒子の微粒化と分散化、安定化をはかる。そこで製作されたナノ発光体を標的蛋白質に結合する技術に取り組み、免疫染色法を確立する。さらにたんぱく質と結合したナノ粒子をマウスなど小動物に注入し、外部から赤外線パルスレーザーを照射して粒子が滞留している箇所を同定できるシステムの開発を行う。そのために専用の赤外対物レンズを購入する。 ラマン顕微鏡に関しては、別のプロジェクトによっても性能向上を試みる予定であり、本プロジェクトとの相補化によっていっそうの性能向上が見込まれる。 SHG顕微鏡については多光子検出モジュールとすでに結合できているが、波長分散による収差が生じたため、波長分散補償素子を購入して培養細胞に対する計測の高性能化をはかる。
|