研究課題
平成26年度は本研究の最終年度であり、昨年度に引き続きマウスによる本研究の治療実験を継続した。治療条件は、陽子線単回照射15Gyまたは30 Gyの陽子線単独治療、腫瘍血流遮断薬AVE8062の40 mg/kg の単回投与のAVE8062単独治療、陽子線15 Gy照射とAVE8062 40 mg投与の併用治療、陽子線30 Gy照射とAVE8062 40 mg投与の併用治療とした。治療効果の分析については、各治療条件の単回治療後の腫瘍体積を計測し、腫瘍縮小による腫瘍増殖遅延効果を評価した。腫瘍増殖遅延効果は、治療開始時の腫瘍体積の4倍に到達する日数で評価する。つまり、その日数が多いほど増殖遅延効果が大きいため治療効果が高いと解釈する。その結果、陽子線単独治療、腫瘍血流遮断薬単独治療に比べて、両者の併用治療では腫瘍増殖遅延効果が大きいことが認められた。また、陽子線照射と血流遮断薬の効果は相加的であることが確認された。一方、糖代謝トレーサPET薬剤の 18FDG を用いて、マウス腫瘍の1mm以下の超高空間分解能PET画像を取得し、腫瘍の糖代謝によって治療効果を評価した。その結果、腫瘍血流遮断剤の治療で生き残る腫瘍辺縁部組織の糖代謝が、併用治療では著しく低下し効果的に血流遮断剤で問題となる辺縁部腫瘍細胞が効果的に死滅することが示された。また、腫瘍組織内の低酸素細胞が本治療法においてどれだけ効率的に殺傷されるかなど、従来の放射線治療の問題点に対しても低酸素イメージングPET薬剤の18F-MISOを用いて評価した。その結果、併用治療は各単独治療条件よりも低酸素細胞の殺傷効果が高いことが認められたが、本研究の単回治療条件では低酸素細胞を完全に死滅されることは困難であり、複数回の併用治療を実施する必要があることが判明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
International Journal of PIXE
巻: 23 ページ: 147-151
巻: 24 ページ: 印刷中