研究課題/領域番号 |
23240078
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
本郷 一博 信州大学, 医学部, 教授 (00135154)
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研究分担者 |
岡本 淳 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10409683)
伊関 洋 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90119892)
後藤 哲哉 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (30362130)
堀内 哲吉 信州大学, 医学部, 准教授 (40303466)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 医用ロボット / マイクロサージェリー |
研究概要 |
平成23年度から続けて、完全パッシブ型多関節アーム型マニピュレータの設計を行った。医師、工学者、設計製作者が頻回に会合を行った。杉田式ヘッドフレームとの整合性、顕微鏡下術野での視野を妨げない設計をした結果、自重保証のバネは調整を複雑に可能にするためマニピュレータ下側、各関節のブレーキを平行リンクを用いてマニピュレータ基部に配置した。基礎設計をもとに日立JTEにて詳細設計、製作を行い、一号機を完成させた。有用性評価は頭蓋、脳、くも膜、血管を模した装置を用いて、手術顕微鏡下で脳外科医によって行われた。結果、本装置を用いることで、膜剥離作業は容易になることがわかった。しかしながら、性能を優先させた結果作業範囲は狭く、先端の直径数センチ内でしか、自重保証が達成できなかった。自重保証をより広い範囲で行うため、バネの調整を行う必要があった。 平成25年度に繰り越しした研究期間にて、平成24年度に作成した完全パッシブ型多関節アーム型マニピュレータのユーザビリティ向上のための改良のための部品(バネ、ブレーキ)の検討とマスタースレーブ型多関節アーム型マニピュレータの設計を行った。改良によりパッシブ型マニピュレータは、自重保証の範囲をより広く確保することができるようになった。またブレーキの改良はマニピュレータの重量を軽くし慣性をへらすことで、操作性を向上させることができた。またマスタースレーブ型マニピュレータの設計はパッシブ型で行った基礎設計を参考におこない、時間や経費の削減を達成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は採択が平成23年11月であったこともあり、平成23年度の研究の一部が平成24年度に繰り越しとなり、平成24年度の研究の一部が平成25年度に繰り越しとなった。平成24年度は、試作機の設計を進めるに従い、当初は一般的な市販製品の使用を予定していた一部部品に、受注生産品や、専用設計の特注品を製造し使用することが必要あるいはより適切と判断するに至った。設計の見直し、細部設計と部品集約に当初予期し得ない長期間を要し、これらの作業を適宜並行して進めることにより遅延期間の圧縮を最大限図ったが止むを得ず遅延が生じた。試作ロボット製造に係る部品調達費用を繰り越し算定した。3年度で達成させる研究全体としては、遅れはなしと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
完全パッシブ型多関節アーム型マニピュレータの改良を行う。とくにガタを減らすことを目標とする。市販ブレーキはガタの発生は避けられないため、チューニングを施す。各関節軸部分を大きくする。自重保証の可動範囲を大きくするため、カウンターウエイト方式を併用できるよう、基本設計を見直す。製作後再度バネ調整を実機を元に行う。 スレーブマニピュレータの設計を行う。設計は完全パッシブ型多関節アーム型マニピュレータのブレーキをモータに変更することで対応する。 作成したマスタースレーブマニピュレータで顕微鏡下脳神経外科手術シミュレーションを行う。剥離操作を模したシミュレーションを設計、製作する。
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