研究課題/領域番号 |
23240081
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山川 宏 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00097263)
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研究分担者 |
渡辺 広樹 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00609266)
宮下 朋之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20329080)
藤江 正克 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339716)
小林 洋 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50424817)
星 雄陽 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (50535284)
佐藤 嘉伸 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70243219)
橋爪 誠 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90198664)
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研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2014-03-31
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キーワード | 癌凝固メカニズム / 電磁波熱治療 |
研究概要 |
本研究は,近年癌の局所療法として注目されている電磁波による癌の焼灼療法を基盤技術とし,定量的かつ高精度な治療を実現する電磁波熱治療システムの開発を目的とする.本研究では,基本的な治療原理でありながら従来明らかにされてこなかった癌組織加熱時の発熱,変性,凝固の一連のメカニズムを臓器ごとに解明することに重点を置き,癌凝固シミュレーションを規範とした個々の癌凝固メカニズムに即した最適な治療形態の決定と,それを実現する癌形態対応型電磁波熱凝固治療デバイスの開発を行う.組織凝固メカニズムの解明のために,本年度は,次の課題に取り組んだ. (a) 癌凝固シミュレータの開発 術中に凝固の進行状況を観測し,進行状況に応じて術者が治療方法を適宜修正することが可能な治療を実現するために,本研究では,癌凝固モデルと数値計算法を用いて熱凝固療法の実施中に患部の凝固進度を特定する癌凝固シミュレータの開発を行う.前年度はin vitro環境下で肝組織の凝固進度と粘弾性の関係性をモデル化するための基礎データを収集したのに対し,本年度はin vivo環境下でデータを収集した.その結果,肝組織の凝固進度と粘弾性には正の相関があること,および,60℃付近で肝組織の凝固進度と粘弾性が急激に変化することが確認された. (b) 可変周波数・可変指向性電磁波熱凝固デバイスの開発 従来の単針の電極針を用いた熱凝固療法では,癌の外周部まで熱が伝わらず未凝固領域が残ることが問題を解決するために,本研究では,非常に細経な複数本の電極針を並列に配置し電磁波の周波数・指向性を変化させることが可能なデバイスを開発する.本年度は,(1)に関して,細径な複数本の電極針の仕様の検討と,電磁波の周波数・指向性を変化させることが可能な電磁波発生装置の設計に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では,本年度で癌凝固モデルを用いた癌凝固シミュレータの開発まで行う予定であったが,実際には癌凝固モデルを癌凝固シミュレータへ実装するまでには至らなかった.しかし,本研究では組織凝固メカニズムの解明と癌凝固モデル構築に重点を置いており,その点に関しては重要な知見が得られている.したがっておおむね順調に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,次の課題に取り組む.まず,本年度得られた肝組織の凝固進度と粘弾性の関係性のデータをもとにより詳細なデータを収集し,癌凝固モデルを構築する.次に,構築した癌凝固モデルを用いて癌凝固シミュレータを開発する.また,本年度より着手している可変周波数・可変指向性電磁波熱凝固デバイスの開発を引き続き行う.最後に,開発したデバイスの臨床評価を行うために,九州大学に新設された専用の動物実験施設にてブタを用いたIn vivo 実験を行う.
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