研究課題/領域番号 |
23240087
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
長嶋 祐二 工学院大学, 情報学部, 教授 (50138137)
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研究分担者 |
神田 和幸 中京大学, 国際教養学部, 教授 (70132123)
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キーワード | 手話工学 / コミュニケーション支援 / 福祉工学 / 言語認知 / 手話アニメーション |
研究概要 |
本研究では、手話の言語認知過程の解明、手話動作の自動生成・合成を支援する記述法の研究、およびアニメーションによる情報提供・コミュニケーション支援へ応用することを目的としている。目的を達成するために本年度は、実施計画に基づき下記の課題について実施した。 1.医療用手話語彙の選定と動作の収録:既存の全日本ろうあ連盟と広島県手話通訳問題研究会より出版されている医療用手話単語の動作を手話の音韻規則的に解析し、不適切な動作、意味的にわかりにくい動作の語彙は新たに動作作成作業を行った。必要と判断したがないものは新たに作成を行った。その結果、歯科関係の語彙を除いて、モーションキャプチャ候補語彙として異動作同義語を含め686単語抽出し、東映ツークン研究所にて3次元動作と2方向からの映像の収録を行った。 2.手話動作編集エディタの開発では、BVH(BioVision Hierarchy)形式の手話の3次元動作データをNHK放送技術研究所のTVMLL(TV program Making Language)プレーヤーによって、観測者の視点、任意の拡大率、フレーム単位で動作確認できる手話動作分析ツールの試作を行った。試作システムにより、手話単語の形態素分析に利用可能であることを確認した。 3.TVMプレーヤーによる手話アニメーションシステムの構築では、情報提示に必要となる男女2体の医師キャラクタモデルを、手話の読みやすさ、親しみさ、表現の分かり易さを基に設計・制作を行い、手話動作分析ツールを用いて、モデルの骨格構造の適切性と共に、情報提示に利用できる品質であることを確認した。 4.手話の言語認知と記述法では、1,000単語を提案しているNVSGモデル記述を行った。その過程で、NVSGモデルの見直し作業を行い、形態素のカテゴリ分類の方式を検討した。また、分析を通して、必要手形の数え上げで音韻的に異なる61手形の抽出ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究で最も重要な点は、医療用手話単語の動作の選定作業である。当初の計画では2年間かけ既存の語彙分析作業、撮影語彙の抽出、そして動作収集を行う計画であった。手話語彙検討において、研究協力者の全面的な協力が得られ、数回の合宿で集中作業を行うことができ、500語彙の目標に対して686語彙の動作と映像収録ができたことによる。これにより、収録単語の十分な見直し作業が余裕をもって次年度からできることになる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の計画を遂行する予定である。 医療用手話単語では、音韻規則、動作のやりやすさ、分かり易さから、新しい動作を含め語彙の選定作業を行った。その結果できた語彙集は非常に有益なものと考えられる。当初予定にはなかったが、一般への普及を図るためイラストを起こし配布できるか検討を行う。権利関係がクリアできればTVMLによるアニメーション画像での配布も視野に入れる。
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