研究課題/領域番号 |
23240087
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
長嶋 祐二 工学院大学, 情報工学部, 教授 (50138137)
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研究分担者 |
神田 和幸 中京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70132123)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 手話工学 / コミュニケーション支援 / 福祉工学 / 言語認知 / 手話アニメーション |
研究概要 |
本研究では、手話の言語認知過程の解明、手話動作の自動生成・合成を支援する記述法の研究、およびアニメーションによる情報提供・コミュニケーション支援へ応用することを目的としている。目的を達成するために本年度は、実施計画に基づき下記の課題について実施した。 1. 簡易手話解析エディタを構築することにより、昨年度撮影した711語の医療用手話語彙の形態素の構造分析を手話形の確定した550単語について行った。記述方法は、代表者の提案するNVGS形態素記述を用いた。その結果、医療用手話では、CL(Classifier:類辞)と呼ばれる表現形態が多く採用されていた。 2.撮影単語の表現意味と動作一貫性の分析を手話母語者、手話通訳士、医療関係者とともに行い、244単語の手話形を見直すとともに、一貫性を保持した手話形を検討した。また、追加すべき医療語彙の検討から、新たに83単語の手話形の決定を行った。また、医療窓口での支援の立場から、66医療用語に対する手話説明文を作成した。その結果、327単語、66例文の3次元動作を昨年と同様に東映のツークン研究所においてモーションキャプチャによる収録を手話母語者により行った。 3.手話における非手指信号の重要性検証のため、3Dアニメーションモデルの手話母語者、通訳者による実映像、表情なしアニメーション、表情付アニメーションによりる視線計測のい予備実験を行い、表情のあるなしでの顔への停留度が、表情なしアニメーション、表情付きアニメーション、実映像の順で高くなっていく傾向がを示唆された。 4.昨年度収録分で手話動作の確定した医療用手話単語を用いて、モーションキャプチャデータから変換したBVH(BioVision Hierarchy) 形式のデータを用いて、任意の視点から手話動作を形態素単位で再生できるNVSG形態モデルによる医療用手話データベース構築を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で最も重要な点は、医療用手話単語の動作の選定作業とNVSG形態素モデルによる形態素記述である。昨年度の撮影語彙の見直し、進出単語の撮影など順調に進行して、目標のの800単語以上収録が完了した。 さらに、NVSG記述のための解析ツールの順調に構築ができ、世界初の形態素レベルでの3次元動作を任意視点で再生することが次年度以降できるようになった。 また、支援の立場から、重要医療例文66カテゴリーのモーションキャプチャによる収録も終了できた。アニメーション認知からは、非手指信号の機能解析のための視線計測実験を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
終了年度は、纏めへ向けた当初の計画を遂行する予定である。 医療用手話単語では、音韻規則、動作のやりやすさ、分かり易さから、NVSG形態素モデルによる医療用手話単語の3次元データによるデータベース構築作業を行う。 また、医療支援の目的から、手話例文による情報提供方法の検討を行う。 纏めとして、学会誌への投稿の準備作業、次のステッップへの新たな課題の検討も行う。 当初予定にはなかったが、肖像権、著作権などの問題がクリアできれば、DVDなどの媒体により、一般への普及を図るため実映像、3次元手話アニメーションを用いた医療手話語彙データベースの配布も視野に入れる。
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