研究課題/領域番号 |
23240088
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤江 正克 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339716)
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研究分担者 |
高杉 紳一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (40253447)
安藤 健 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (40535283)
彼末 一之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50127213)
小林 洋 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50424817)
藤本 浩志 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60209103)
王 碩玉 高知工科大学, 工学部, 教授 (90250951)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生理学的モデル / 動力学的モデル / 意図推定 / シミュレータ / 動作解析 |
研究概要 |
本研究では、動作支援ロボットの普及を目指し、直接的なアシスト部位だけでなく、全身の動作が自然と調和されることを目標に加えたロボットの制御則の構築を行うことを目的としている。本年度の成果を以下に記す。 (1) ヒトの全身協調動作モデルの構築:上肢の巧緻動作における各関節自由度の協調を明らかにするために、筆記動作を対象タスクとして、力覚センサを搭載したペン型デバイスとペンタブレットと描画タスクアプリケーションを用いた解析を実施した。 (2) 生活動作における被介助者の全身動作の最適化:骨盤支援ロボットに於いて、ロボットによる体重免荷量の増加に伴い、全身の姿勢が後傾することが確認され、姿勢が後傾せずに免荷支援を行える機構が必要であることを確認した。また、上肢のふるえを抑制する装着型ロボットに於いて、ふるえを抑制する際に起こる関節の拘束によって他関節の代償動作が発生し、不自然な動作となることによる疲労の発生が確認されている。そこで、他関節との連動機構を開発し搭載することで、代償動作の発生抑制に成功した。 (3) 介助ロボットの動作生成:片麻痺患者の骨盤を支持し、冠状面方向の体重移動を整えながら、歩行リハビリを行う「ハンドリング」という手法を模擬する骨盤支持ロボットに関連して、患者の不意な冠状面方向のバランスの乱れに対応した患者への接触方法について検討を行った。また、被介助者とロボットの接触方法として、生体の粘弾性特性に近い、特性を有する分数次微分を用いたインピーダンス制御の有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全身の協調動作を誘発する協調動作モデルの構築に向け、概ね予定通りに研究を進めることができた。以下に大項目ごとにその理由を記す。 (1) ヒトの全身協調動作モデルの構築:協調動作モデルの構築に向け、上肢の巧緻動作における各関節自由度の寄与を、筆記動作を対象タスクとして検討することができた。 (2) 生活動作における被介助者の全身動作の最適化:不随意のふるえを有する患者のふるえを抑制するために開発されている装着型ロボットにおいて、ふるえを抑制することに伴う関節の拘束による代償運動の発生を抑制し、自然な動作軌道の生成に成功した。また、骨盤支持ロボットにおいて、体重の免荷量を増やすことにより、姿勢の後傾が発生しており、自然な歩行を阻害していることを明らかにした。これにより、後傾を伴わない免荷機構・アルゴリズムの構築の必要性が示唆された。 (3) 介助ロボットの動作生成:介助ロボットと人との接触に関して、実装と理論双方の観点から検討を行うことができた。実装としては、骨盤支持ロボットによるハンドリングにおける接触手法を検討し、理論面では分数次微分を用いたインピーダンス制御の有効性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
全身の協調動作を誘発する協調動作モデルの構築に向け、各大項目に関し、各々以下のように研究を推進する。 (1) ヒトの全身協調動作モデルの構築:本年度、上肢の巧緻動作を対象として、協調動作モデルを構築したため、次年度は、高齢者の起立動作支援という全身を用いた動作の支援を対象として、全身協調動作モデルの検討を行う。 (2) 生活動作における被介助者の全身動作の最適化:本年度に引き続き、片麻痺患者の歩行など、様々な対象に対して、対象部位以外を強調させた全身動作の最適化を進めていく。 (3) 介助ロボットの動作生成:全身協調動作を実現するロボットの一検討として、高齢者の起立動作を支援するロボットを対象に、高齢者個々人の能力(残存能力)に応じた起立誘導を実現するためのアルゴリズムを構築する。
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