研究概要 |
平成9年と平成21年の比較において、15歳以上の1日の歩数の平均値が、男性で8,202歩から7,243歩、女性で7,282歩から6,431歩と、約1,000歩も減少した。歩数の減少は身体活動や運動の重要性を認識するものの、実際にそれらを"行動"に起こすことは困難であることも事実である。身体活動・運動行動において、一部、遺伝要因が関与していることが報告されていることから、本研究では、これらの身体活動・運動行動を規定する遺伝要因の解明を目的に、候補遺伝子アプローチ及び網羅的アプローチの両側面から検討を行った。本年度において、候補遺伝子アプローチとして、従来から摂食行動に関連があるとされるレプチン受容体遺伝子多型と身体活動の関係について検討を行ったところ、低強度身体活動時間や不活動の時間と関連していることが示唆された。また230名を対象としたGWASを用いた網羅的解析の結果、候補遺伝子として抽出されたAnoctamin6とCACNA1C遺伝子多型について490名を対象に身体活動・運動行動との関連を検討した結果、Anoctamin6遺伝子多型が高強度身体活動時間と関連している可能性が示唆された。来年度は遺伝要因以外の環境要因についても検討し、身体活動・運動行動に影響を及ぼす因子について明らかにし、個人の身体活動量増大のための効果的なアプローチ方法の開発に寄与することを目指す。
|