研究課題
実験動物で得られた運動効果をヒトに応用するには生理的な運動強度の設定が不可欠である。ラットでは、研究代表者らが走行中の乳酸性作業閾値(LT)を決定し、LT以下のストレス反応を伴わない低強度運動でも十分に海馬の可塑性が高まることを示した。今後、より詳細な分子メカニズムやアルツハイマーモデルを用いた運動効果の検証など、遺伝子改変マウスを用いた実験を実施する必要がある。しかし、マウスでは血液量が少なく運動強度の設定には至っていない。その解決策として、LTとほぼ一致し、非侵襲的な換気ガス分析から決定される換気性作業閾値(VT)が有望である。そこで、今年度は、換気ガスの測定可能な代謝チャンバーを用い、マウスの運動モデルを確立し、VT以下の低強度運動が海馬の神経新生を高めるか確認した。実験には12週齢のC57/6Jマウスに漸増負荷運動を課し、代謝チャンバーを用いて走行中の換気ガスを測定した。その結果、マウスのVT速度は、平均して分速12.1±1.7mで出現することが明らかになった。この算出したVTを基準に、低強度(分速7m)と高強度(分速17m) 群に分け、30分間の一過性走運動を課し、運動終了後に血中乳酸値と血糖値を測定したところ、一過性走運動の直後では安静群や低強度群と比べ、高強度群では有意な乳酸値と血糖値の上昇を確認した(p<0.01)。また、4週間の走運動トレーニングがマウスの海馬神経新生に及ぼす影響について検証した。神経新生は増殖細胞マーカーであるKi67と成熟神経細胞のマーカーであるNeuNを用いて評価し、4週間の低強度運動は増殖細胞およぶ新生神経細胞数を有意(p<0.05 )に高めることを確認した。ラットと同様に、マウスでも生理的指標に基づいた運動モデルを確立し、低強度運動が海馬の可塑性を高める有用な運動であることを示唆した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (26件) (うち招待講演 8件) 図書 (1件) 備考 (1件)
International Journal of Sports Medicine
巻: 36 ページ: 280-285
10.1055/s-0034-1390465
体育の科学
巻: 65 ページ: 2-5
巻: 65 ページ: 21-27
NeuroImage
巻: 98 ページ: 336-345
10.1016/j.neuroimage.2014.04.067
Jornal of Exercise Nutrition & Biochemistry
巻: 18 ページ: 327-332
10.5717/jenb.2014.18.4.327
Journal of Steroids & Hormonal Science
巻: S4 ページ: 1-7
10.4172/2157-7536.S4-002
International Journal of Geriatric Psychiatry
巻: 1 ページ: 1-9
10.1002/gps.4205
Physiological Reports
巻: 2 ページ: 1-16
10.14814/phy2.12206
精神医学
巻: 56 ページ: 671-677
巻: 64 ページ: 302-305
巻: 64 ページ: 339-344
http://soyalab.taiiku.tsukuba.ac.jp