研究課題/領域番号 |
23240093
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西嶋 尚彦 筑波大学, 体育系, 教授 (50202239)
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研究分担者 |
中野 貴博 名古屋学院大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (50422209)
鈴木 宏哉 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60412376)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | 運動能力 / 学習ノート / ICT教育 / 適応型テスト / コンピュータテスト / 子ども |
研究概要 |
【研究の成果】今年度の研究成果は,a) 運動分解支援システムでの特許出願(特願2013-163534).b)体育領域の教材運動項目の運動局面を構成する機能的動作と達成度評価基準の推定,c) 機能的動作に対応した下位教材運動項目の成就難易度と絶対評価精度の推定であった.最終的には,子どもの健康関連体力と運動技能の向上のために,個人の能力水準に適合した「コンピュータ適応型運動学習」を解明する.運動を成就するごとに運動技能水準を絶対評価し,分解画像や動画のデジタル教材として逐次的に運動項目が表示される適応型アルゴリズムを構築する. 【研究の実施】方法:1)小学校の体育領域の下位教材運動特性の分析.2) 体育領域ごとに,教材運動の運動局面ごとの機能的動作に準拠して下位教材運動を構成.3) 学習ノート型の運動局面の分解画像質問による教材運動成就質問紙を用いて測定.4) 項目反応理論(IRT)の数理モデルを適用して,運動成就パターンデータから運動項目特性を分析. 対象:同意が得られた小学生から高校生の男女計600人前後. 手順:1) スポーツ・体育の専門家5名を対象とするデルファイ法と特性要因分析法を適用して,体育領域の教材運動項目の機能的動作と成就評価基準を構成.2) 教材運動項目の運動局面ごとの機能的動作に準拠して下位教材運動項目を構成.3) 新体力テスト8項目を測定し,体力テスト合計点とともに併存妥当性基準とした.4) 学習カード型の運動局面の分解画像質問による教材運動成就質問紙を用いて測定. 調査項目:器械運動系はマット17種目99項目,鉄棒15種目84項目,跳箱7種目49項目,陸上運動系は4種目32項目,水泳系はクロールと平泳ぎで9種目59項目,ボール運動系は,サッカーの技術と戦術で62項目,程度で構成された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校体育で1年間に実施する単元が測定対象であるために,初年度から3学期の単元のみ測定を実施した.1学期と2学期の測定は,繰り越して,次年度に実施したことで,おおむね順調に,研究計画に従って単元の測定を実施した.測定から得られたデータ分析では,運動を成就するごとに運動技能水準を絶対評価し,分解画像や動画のデジタル教材として逐次的に運動項目が表示される適応型アルゴリズムを構築するために必要な4課題(aからd)のうちの2課題にいついて,実施した.a) 小学校体育6領域の教材運動項目の運動局面を構成する機能的動作と達成度評価基準の分析と, b) 機能的動作に対応した下位教材運動項目の成就難易度と絶対評価精度の分析を実施した.具体的には,1) 前期2年目までは小学校全学年の体育6領域の下位教材運動特性を分析した.後期2年間で携帯型PCに分解画像と動画を表示するアルゴリズムを作成する.教材運動内容が中高学年と低中学年とで異なるために,2年度に分けて分析した.2) 体育6領域ごとに,教材運動の運動局面ごとの機能的動作に準拠して下位教材運動を構成した.3) 学習ノート型の運動局面の分解画像質問による教材運動成就質問紙を作成して測定した.4) 項目反応理論(IRT)の数理モデルを適用して,運動成就パターンデータから運動項目特性を分析し,運動技能得点と実技成績に対する下位運動項目間に潜在する階層的因果関係を分析した.5) 新体力テスト8項目を測定し,体力テスト合計点とともに併存妥当性基準とする.対象は,小学校で同意が得られた1年生から3年生の男女計600人前後であった.主要な手順は,1) スポーツ・体育の専門家5名を対象とするデルファイ法と特性要因分析法を適用して,体育6領域の教材運動項目の機能的動作と成就評価基準を構成した.2) 教材運動項目の運動局面ごとの機能的動作に準拠して下位教材運動項目を構成した.
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今後の研究の推進方策 |
【次年度】運動を成就するごとに運動技能水準を絶対評価し,分解画像や動画のデジタル教材として逐次的に運動項目が表示される適応型アルゴリズムを構築するために必要な4課題のうちの2課題(cとd)に焦点を絞り,段階的に研究プロジェクトを推進する.各課題は,c) 下位運動項目間の階層的因果関係,d) 分解画像と動画表示によるコンピュータ適応型運動学習アルゴリズムの妥当性,である.対象は,小学校で同意が得られた1年生から6年生の男女計200人前後である.調査項目は,小学校中高学年領域では,体力つくり運動系の運動項目は4種目27項目,器械運動系はマット17種目99項目,鉄棒15種目84項目,跳箱7種目49項目,陸上運動系は4種目32項目,水泳系はクロールと平泳ぎで9種目59項目,ボール運動系は基礎,バスケットボール,サッカー,ソフトバレーボール,戦術で62項目,表現運動系は21項目,程度で構成される.小学校低中学年領域では,器械器具を使う運動遊び系は4種目27項目,走跳の運動系は4種目29項目,水遊び系は3種目21項目,ゲーム系は3種目21項目,表現リズム遊び系は2種目15項目,体力つくり運動系の運動項目は4種目27項目,程度で構成される.各運動項目は「できた/できない」の二件法判定尺度に変換して統計解析する.主要な手順は,1) 体育6領域の適応型運動学習アルゴリズムを構成し,学習カード型質問紙の運動学習から得られたデータを基準として妥当性と精度を分析する.2) 動画分解画像データベースによる適応型運動学習アルゴリズムを構築し,TV型および携帯型PCに実装し,各単元で実践する.学習カード型運動学習データに対する妥当性と精度を分析する.【問題点】小学校体育の1年間に実施される単元を測定対象としていることから,次段階の研究課題の実験と測定も,やはり,3学期から開始して,次年度に繰り越して,1学期と2学期の単元の測定となる.
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