研究分担者 |
山口 庸子 共立女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20201832)
森田 みゆき 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10174434)
尾畑 納子 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (60201406)
田川 由美子 神戸ファッション造形大学, ファッション造形学部, 准教授 (40207808)
生野 晴美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80110732)
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研究概要 |
優れた節水洗浄システムを構築するために,洗濯動向調査やアンケート調査,節水洗濯の実験的評価,洗浴組成,機械力および被洗物の観点からの検討を行った. 欧州ではドラム式洗濯機が主流で,低容量タイプも販売されていた.CO_2排出量削減に向けて家庭洗濯の低温化が進められ,ドイツでは水温20℃の洗濯機が販売された.日本では洗濯機の大容量化やドラム式洗濯機の導入とともに洗濯乾燥機が急激に普及した.洗剤のコンパクト化,液体化が進み,液体洗剤が主流となった.人工汚染布や市販洗剤を用いて節水洗濯評価を行った結果,洗剤濃度一定では浴比の低下に伴って洗浄率が減少することが確認された.低浴比下での洗剤使用量の設定は被洗物当たりとする必要があり,すすぎの検証も欠かせないことが示唆された.ペルオキシダーゼ(POD)を用いて,オレンジIIの分解反応を調べたところ,HRPではp-ヨードフェノール,RPOではNOBSが活性化剤として有効であった.また,大豆由来PODの精製条件を検討し,品種による分子量を求めた結果,乙姫みどりは31400,おしまみどりは41500となった.アルカリ電解水に種々の酵素を添加して人工汚染布の洗浄を行ったところ,市販洗剤溶液と同程度まで増大し,ポリエステル/綿混紡布でサビナーゼ,エスペラーゼの洗浄効果が高いことがわかった.この系ではすすぎは1回で十分であり,節水効果が期待できることが示唆された.PETフィルムに各種モデル汚れを付着させて超音波洗浄(38kHz)を行った.その結果,撹拌洗浄よりも高い洗浄率が得られ,温度を上げるとさらに洗浄率が増大した.130kHzで超音波洗浄を行うと,界面活性剤添加系での洗浄率が著しく増大した.ポリエステル布をプラズマ処理し、処理前後の繊維表面のキャラクタリゼーション,および人工汚染布による洗浄実験を行った.その結果,処理により繊維表面が親水化されて汚れの脱離促進と再付着抑制が起こることが明らかとなった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果を踏まえてさらに下記の実験を行い,節水洗濯の評価を進め,節水洗濯の効率化に向けての具体的な方策を探るために下記の実験を遂行する. 1.地域間の違いを考慮した家庭洗濯の実態調査結果の解析を進める.また,市販洗剤の洗浄性能と洗浄温度の関係を明らかにする. 2.界面活性剤濃度と浴比を同時に変化させて洗浄性を評価し,同程度の洗浄性を得るための浴比と界面活性剤濃度の関係を明らかにする. 3.新規界面活性剤を用いて実験を行い,低浴比下での洗浄性能に優れるものを検索する。 4.モデル洗浄系を用いて130kHz超音波洗浄機による油汚れの洗浄性調べる. 5.周波数の異なる超音波を用いて人工汚染布の洗浄を行い,洗浄性の違いを検討する. 6.有用性が確認できた機能水を用いて,多様な条件での洗浄性と節水効果を確認する. 7.ポリエステル布以外の合成繊維製品のプラズマ処理による洗浄性能向上を調べる.
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