研究課題/領域番号 |
23240113
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 博一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70174810)
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研究分担者 |
江面 嗣人 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (00461210)
後藤 治 工学院大学, 建築学部, 教授 (50317343)
酒井 徹朗 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10101247)
斎藤 馨 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70215531)
古賀 信也 九州大学, (連合)農学研究科, 准教授 (20215213)
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キーワード | 伝統的木造建造物 / 植物性資材 / 森林資源 / 檜皮 / 大径木 / 木材劣化 / 萱葺屋根 / こけら資材 |
研究概要 |
1.代替材による修理技術の評価;萱葺の屋根用資材として資源の枯渇が懸念されているカヤを対象として、人工材を使用した屋根との比較実験を行った。宮城県北上地域から採取したカヤを使用して実際に屋根を葺き、人工劣化・暴露実験、耐火実験等を行い長期的な劣化に関するデータを収集した。 2.修理用資材の供給可能量に関する調査;天然木の供給量が最も多い長野県上松町の木曽ヒノキ天然林において天然更新状況のサンプリング調査と天然木の上部直径の測定による樹幹形評価を行い長伐期施業による供給可能量を推定した。 3.檜皮剥皮実験;平成10年2月に開始した檜皮剥皮実験を継続し、4地域のヒノキ剥皮実験林の経過観察を行った。さらに、京都市における檜皮採取済み丸太の流通実態調査を行った。 4.使用部材樹種判定システムの開発;文化財建造物の使用樹種をより正確に判定するために、木片の細胞構造を用いた手法による樹種判定技術の開発を進め、微量の試料からの精度向上を図った。さらに、文化財への影響を配慮した光学的手法による非接触型の樹種判定システムの開発を行った。 5.海外における植物性資材のふそん状況調査;中国とマダガスカルにおいて伝統的建造物の資材となり得る天然生大径木の調査を行った。 6.木材の劣化に関する実験;和歌山県の補修現場において、取り替えられた古材を用いて木材の経年変化に関する細胞レベルでの木材物理学的視点からの解析を行った。 7.文化財建造物の修理用資材の需要量及び品質に関する調査 埼玉県で行われている民家の解体修理および愛媛県における城郭の復元を対象に現地調査を実施し、使用部材の規格、品等、数量について調査を行った。文献調査により、過去の修理実績報告書から単位軒面積当たりの樹種別資材量を建造物の種類ごとに算出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北地方における災害のため、茅葺き屋根資材の調達が遅れ、これに伴う実験の実施が遅れたが、その他の研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研研究計画に基づいて、建造物資材の樹種別数量・品質や森林資源から見た植物性資材の供給可能量に関する調査を実施し、森林育成のあり方、資材流通システム、木材消費構造について解析を行う。また、伝統的木造建造物用資材の使い方について文化財維持の立場から実験と検討を継続し、伝統的木造建造物の維持修復に必要な木材や茅などの植物性資材を安定的に確保するための基礎的な要件を明らかにする。
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