研究課題/領域番号 |
23240119
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館 |
研究代表者 |
伊藤 嘉章 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 学芸部付 (80213099)
|
研究分担者 |
三輪 嘉六 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 館長 (00222422)
谷 豊信 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 部長 (70171824)
今津 節生 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部・博物館科学課環境保全室, 室長 (50250379)
赤司 善彦 福岡県立アジア文化交流センター, 展示課, 課長 (00446882)
|
キーワード | 対外交流文化財 / 高精細大型スキャナ / 精密三次元計測機 / CTスキャナ / デジタルアーカイブ / 精密三次元計測機 |
研究概要 |
九州はその地政学的特質から日本列島の窓口としてアジアや西洋の文化や技術をいち早く受け入れてきた。そのため、九州には対外交流に関連する文化財が多く残されている。本研究では、九州およびその周辺諸国・地域に所在する対外交流に関係する文化財を対象とする。九州に東西南北4つの方向から流入した文化の中から代表的な事象を選んで調査を展開する。本研究期間内に、特に中国・朝鮮半島からの北ルートおよび西洋・東南アジアからの西ルートに重点をあてて調査する。調査は、各地の博物館・教育委員会等と協力して文化財の状態把握に主眼を置いた調査を行いながら調査対象を厳選する。 本年度は北ルートの対馬、および、西ルートの長崎市、松浦市の対外交流文化財を九州国立博物館に移動して、大型X線CT、精密三次元計測機、高精細大型スキャナなどの最新鋭のデジタル計測機器を活用した科学調査を実施した。この科学調査の結果をふまえて、学際的な研究チームによる実物調査を実施することにより、これまでにない高精度のデジタル情報を網羅したアーカイブを新しい博物館情報の研究基盤として構築している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北ルートの対外交流文化財調査として対馬の文化財について調査を開始した。西ルートの対外交流文化財調査として、黄檗宗などの中国仏教の中心地となる長崎の寺院所蔵文化財の調査を実施した。その結果、聖福寺所蔵仏像の象内に心臓や肺に見立てた金属製の五臓をはじめとする内臓模型を納めた「生身仏」の作例であることを確認した。象内に金属製五臓を納入した仏像は国内外で4例が確認されているだけの貴重な発見であった。また、長崎県松浦市鷹島の海底遺跡から発見された元寇関連遺物に関するX線CT調査と中国内モンゴル自治区研究者による調査を実施した。これら成果は、新聞テレビ等で報道された。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、北ルートでは壱岐・対馬における対外交流文化財を中心に科学的調査を進めたい。また、日本の中の百済文化調査を実施したい。西ルートでは、昨年に引き続き、長崎市を中心に黄檗宗などの中国仏教文化の調査、松浦市を中心に元寇関連文化財の調査を実施したい。また、東南アジアの文化財調査、特にベトナムの日本文化調査、南蛮屏風に関する研究などを実施したい.
|