研究課題/領域番号 |
23240122
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
松本 淳 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (80165894)
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研究分担者 |
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10111981)
山本 晴彦 山口大学, 農学部, 教授 (40263800)
久保田 尚之 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (40359211)
財城 真寿美 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50534054)
藤部 文昭 気象庁気象研究所, 環境応用気象研究部, 室長 (60343886)
寺尾 徹 香川大学, 教育学部, 教授 (30303910)
村田 文絵 高知大学, 理学部門, 講師 (60399326)
高橋 幸弘 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50236329)
山下 幸三 サレジオ工業高等専門学校, 電気工学科, 助教 (20609911)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | アジアモンスーン / 気候変動 / 台風 / 降水量 / 区内観測 / データレスキュー |
研究概要 |
1.日本国内については、全国の1970年代半ばまでの区内観測による日降水データのデジタル化を完成させ、品質チェックを進めた。20世紀中期の国内気象官署における降水量データの時間間隔や日界、時別値の日積算値と日降水量の違いを調べ,データ利用の際の注意点を明らかにした。四国中央市のやまじ風の過去数十年分のデータを収集した。 2.海外については、旧日本統治領の台湾、朝鮮、千島、樺太、満州の1901-1910年の日単位の気温、気圧、降水量のデータ、旧英領ビルマの1928-1937年の日降水量データをデジタル化し、南アジアで観測・収集したデータのデータベース化を進めた。旧満州・南洋庁での気象観測の歴史をまとめた。20世紀全体にわたる西太平洋での台風経路データを複数のデータ源から復元するべく資料整備を進めた。 3.アジアモンスーン年2007-2012の強化観測データの収集・品質評価を進め、再解析の実施準備をほぼ完了した。 4.マレーシアの降水変動と擾乱活動との関係を解明し、ベトナムにおける台風による降雨の長期変動と年々変動を明らかにした。夏期西部北太平洋域で日本の猛暑・冷夏と関連するPJ (Pacific-Japan)パターンを地上データから定義することで1897-2012年のPJパターンを再現し、エルニーニョやラニーニャ、東南アジアの夏のモンスーン活動、東アジアの夏の気温、台湾・沖縄周辺の夏の台風活動、日本のコメの収穫量との関係が明瞭な時期と不明瞭な時期が、数十年周期で現れることを明らかにした。四国において停滞性線状降水帯が決まった場所に高頻度で出現し大雨をもたらすことを明らかにした。東部太平洋のENSOと、西部北太平洋モンスーン活動を介して、南アジアの大気循環に影響を与える変動モードの存在を指摘し、ヒマラヤ南麓地帯の降水変動に関する有力なメカニズムを解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメダス導入以前の日本国内の区内観測による日降水量データのデジタル化を完成させ、東南アジア諸国における日降水量や台風データのデジタル化等もおおむね順調に進み、AMY再解析も最終準備が完了し、最終年度での本格的な解析に向けた準備がほぼ完了した。また、すでに得られたデータを使用したアジアモンスーン地域における降水を中心とした気候変動等に関する新たな知見を得て、論文発表や学会発表が順調になされ、また旧満州や南洋庁における気象観測の歴史についても、図書や論文にまとめられたため。
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今後の研究の推進方策 |
区内観測所の日降水量データの品質チェックを完了させ、地点データとの照合をはかり、データベースを完成させると共に、得られたデータを用いて日本列島の高密度での降雨強度の長期変化を明らかにする。デジタル化が比較的進んでいるフィリピンやベトナムでの降雨強度の長期変化を解明し、同様に復元を進めている台風活動との関係を明らかにする。国際会議を複数開催して関係研究者との討論を進め、最終年度の成果の取りまとめへ向けた準備を行う。年度末には全体の研究をとりまとめ、成果報告書を作成する。
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