研究課題
急性骨髄性白血病(AML)の発症において重要な転写因子であるHoxa9の過剰発現は、骨髄細胞をin vitroで効率良く不死化するが、in vivoでの白血病発症には協調因子のMeis1の共発現が不可欠である。前年度までに、Meis1のin vivoにおける協調作用は白血病細胞の骨髄へのホーミングと定着能、さらに間質細胞との相互作用に影響していることを明らかにした。Meis1の標的遺伝子の中でこれらの作用を担う分子を解析した結果、Sytl1/Slp1が白血病細胞の骨髄での定着に関与していることが示された。Sytl1は、Slpファミリーに属し、Rab27a/bと会合して細胞内の小胞輸送を促進すること、受容体型チロシンキナーゼTRKBの神経細胞突起への輸送を促進することが知られている。一方Meis1とSytl1の活性化は、白血病細胞のFLT3L、IL3、CXCL12、M-CSFといったサイトカイン及びケモカインに対する走化性を促進することから、これらに対する細胞内の受容体にSytl1が関与している可能性が考えられた。事実、Sytl1のノックダウンによりFLT3の32D細胞の細胞突起への局在が抑制された。一方、CXCR4を細胞に導入し、CXCL12で刺激するとSytl1の発現により細胞の運動能が亢進し、CXCR4陽性顆粒の動態に変化が生じることも示された。さらに、FLT3に対する阻害剤やCXCR4抗体、Rab27の抑制は、白血病細胞の運動能や骨髄内定着を阻害することから、Meis1/Sytl1を介した白血病細胞の骨髄ニッチへの定着の機序が明らかにされた。また、ヒトAML症例においても、SYTL1はHOXA9及びMEIS1の発現と同様の傾向を示した。特にHOXとMEIS1の活性化が顕著なMLL関連AMLでは、SYTL1の高発現群は予後不良群と一致した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS One
巻: 9 ページ: e87646
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