研究課題/領域番号 |
23241001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
角皆 潤 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50313367)
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研究分担者 |
谷本 浩志 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (30342736)
野口 泉 地方独立行政法人北海道立総合研究機構・環境・地質研究本部, 環境科学研究センター, 研究主幹 (10442617)
松枝 秀和 気象庁, 地球化学研究部, 室長 (60354552)
坪井 一寛 気象庁, 地球化学研究部, 主任研究官 (10553167)
佐藤 啓市 (財)日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター, 大気圏研究部, 主任研究員 (00391110)
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キーワード | 硝酸 / 大気沈着 / 三酸素同位体組成 / オゾン / 光化学反応 / 不均一反応 / 汚染気塊 / モニタリング |
研究概要 |
従来申請代表者らが連続観測を行ってきた利尻に加えて、佐渡関岬、南鳥島を合わせた計3地点において、東アジア域の広域的な大気光化学環境の時系列観測を開始した。まず各観測点の担当者と角皆の間で観測準備と打ち合わせを行い、試料採取・濃度分析・試料保存・移送方法・スケジュールなどに関して詳細を決定し、予定通り平成23年10月までに、全観測点において連続観測を開始した。 回収した湿性沈着試料はただちにpHと電気伝導率を測定し、孔径0.2μmメンブレンフィルターで濾過した上で濃度定量用と同位体定量用に分割し、いずれも冷蔵状態で保存しつつ、濃度定量用は各担当研究機関、同位体定量用試料は北海道大学まで輸送し、採取から3ヶ月以内に分析した。また一部項目は谷本が分析を分担した。 各観測点から移送された同位体定量用の湿性沈着試料は、申請代表者やその研究室に所属する大学院生を中心に北海道大学の実験室で同位体組成を定量した。主要項目である硝酸の三酸素同位体組成に加えて、硝酸の窒素安定同位体組成や酸素安定同位体組成、さらに硝酸を溶存させている水の酸素同位体組成も同時に定量した。備品として計上した水同位体アナライザーは、従来多大な時間のかかっていたこの水の酸素同位体組成定量に利用し、質量分析計を硝酸の同位体分析に集中的に利用した。研究補助員を謝金で雇用して単純作業を分担してもらい、協力して同位体分析を推進した。 谷本を中心に三次元化学物質輸送モデル(GEOS-Chem)を元に、各観測点毎に沈着する硝酸量、および各生成反応過程別の相対寄与率を求めた。そしてこれにMorin et al.(2009)から導出される各生成過程毎の三酸素同位体組成を乗じることで、沈着する硝酸の三酸素同位体組成を算出可能とする体制を年度内に整備した。 また年度内の研究成果をまとめ、国内の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の計画と比較すると、辺戸(沖縄県)における集中観測のみが実現出来なかったが、試料採取や分析、成果発表、モデル計算等は順調に推移しており、すべて交付申請書の計画通りに研究が遂行出来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に軌道に乗った観測を継続し、時間変化を含めた議論を行う。集中観測(二週間程度)は次年度中に実現し、これによって地理的広がりの不足を補間するとともに、湿性沈着試料と乾性沈着試料の間の同位体組成の異同について検証する。
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