研究課題
東アジア域では、大気への揮発性化合物の放出が顕著に増加しつつあり、これが大気中で進行する光化学反応過程を変質させている可能性がある。しかし既存の研究手法では、大気中で進行する光化学反応過程を実測することは出来なかった。そこで本研究は、大気から沈着する硝酸の三酸素同位体組成が、窒素酸化物の光化学反応過程を反映して変化することに着目して、利尻(北海道)、南鳥島、佐渡関(新潟)、那覇(沖縄)、石垣島の計5カ所の観測点において、大気から沈着する硝酸の三酸素同位体組成の連続観測を実現した。本研究の結果、各観測点に湿性沈着する硝酸について、三酸素同位体組成の年平均値を求めることに成功した。さらに、全観測点で三酸素同位体組成の季節変化が存在することを明らかにした。しかしながら、その変化の傾向や絶対値は、利尻や佐渡関といった中緯度の観測点と、南鳥島や那覇、石垣島と言った低緯度の観測点で大きく異なることも判明した。関連パラメータ(窒素沈着量・ガス状一酸化窒素濃度やオゾン濃度など)のデータや三次元大気化学輸送モデルから導出される予想三酸素同位体組成と比較検討した結果、これは窒素酸化物の起源や、その沈着に至る光化学反応過程が、中緯度の観測点と低緯度の観測点で大きく異なることを反映していることが明らかになった。また5年間の観測では、有意な経年変動は観測されなかった。研究成果をまとめて国内外の学会で発表したほか、欧文誌に成果を投稿した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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