研究課題/領域番号 |
23241012
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
左山 幹雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (20344145)
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研究分担者 |
鳥村 政基 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 計測技術研究グループ長 (40357588)
中島 善人 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (80357623)
佐藤 浩昭 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (70357143)
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キーワード | 細胞外電子伝達 / 酸化還元反応 / 堆積物 / 物質循環 / 微生物 / 国際研究者交流(デンマーク) |
研究概要 |
富栄養化内湾堆積物の生物地球化学的物質循環過程において、細胞外電子伝達系(extracellular electron transfer, EET)を通じた長距離細胞外電子伝達により、空間的に大きく隔たって存在している異種微生物間での酸化還元反応の共役(酸化還元種間の電子の授受)が実際に機能していることを実証し、その調節要因を明らかにすることを目的に、東京湾を調査対象海域とし、H2S酸化反応とO2還元反応を解析対象の酸化還元反応として研究を行っている。平成23年度は以下の研究を行った。 1.EETの生物電気化学的解析に用いる実験堆積物コアの構築:EETの実在が示唆された東京湾湾央部から採取した堆積物を用いて実験堆積物コアを構築し、O2、H2S及びpHの微細鉛直分布の測定を行い、EETが実際に機能している実験堆積物コアの作製に成功した。 2.EETに対する環境要因(微生物学的及び地球物理学的)の影響の実験堆積物コアを用いた解析:EETの発現に対して温度(15℃と20℃)が大きな影響を与えることを実験堆積物コアを用いて確認した。この成果は、以後の解析を進める際の実験条件を設定するために重要な情報であるとともに、自然環境下におけるEETの時空間動態を調節している環境要因を解明するための手掛かりとなる重要な情報である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自然環境下においてEETが実際に機能していることを実証しそのメカニズムを解明するためには、実験系でEETを再現できることが極めて重要である。そのために、EETが実際に機能している実験堆積物コアの作製を、本研究の最初の研究目標とした。この研究目標が達成できたことにより、今後の研究も順調に進展させることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
EETが実際に機能している実験堆積物コアを用いて、EETの具体的なメカニズムの解析と、自然環境下におけるEETの時空間動態を調節している環境要因の解明を目標に研究を進める。EETのメカニズムとしては、微生物、導電性(鉄)鉱物、及び微生物-鉱物ネットワークが考えられる。微生物としては、デンマーク オーフス大学のL. P. Nielsen教授らがCable bacteria(通称)と呼ぶ特異な微生物を発見しており、彼らとの密接な情報交換と協力により研究を進める。導電性(鉄)鉱物としては、magnetiteを第1候補として想定しており、その影響を実験的に解析する。さらにEETが自然環境下において実際に機能していることをより直接的に証明するために、自然電位(Self Potential, SP)の微細鉛直分布を測定できる微小電極(SP微小電極)を開発し、SP微小電極による現場測定を目指す。
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