研究課題/領域番号 |
23241012
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
左山 幹雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (20344145)
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研究分担者 |
鳥村 政基 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (40357588)
佐藤 浩昭 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (70357143)
中島 善人 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 主任研究員 (80357623)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 細胞外電子伝達 / 酸化還元反応 / 堆積物 / 物質循環 / 微生物 / 国際研究者交流(デンマーク) |
研究概要 |
富栄養化内湾堆積物の生物地球化学的物質循環過程において、細胞外電子伝達系(extracellular electron transfer, EET)を通じた長距離細胞外電子伝達により、空間的に大きく隔たっている酸化還元反応の共役(酸化還元種間の電子の授受)が実際に機能していることを実証し、その調節要因を明らかにすることが本研究の目的である。平成24年度は、EETが実際に機能している実験堆積物コアを用いて、EETの具体的なメカニズムの解析と、自然環境下におけるEETの時空間動態を調節している環境要因の解明を目標に、以下の研究を行った。 1. EETのメカニズムとしては、微生物、導電性(鉄)鉱物、及び微生物-鉱物ネットワークが考えられる。微生物としては、デンマーク オーフス大学のL. P. Nielsen教授らがCable bacteria(通称)と呼ぶ特異な微生物を発見しており、EETの実在が示唆された東京湾湾央部から採取した堆積物をオーフス大学に送り、Cable bacteriaの確認とその現存量の季節変化を調査した 2. EETのメカニズムとして考えられる導電性(鉄)鉱物としては、magnetite(磁鉄鉱)が最有力である。そこで実験堆積物コアにmagnetiteを添加し、magnetite添加がH2SとO2の動態に与える影響を測定することにより、EETへの影響を解析した 3. EETを直接的に実証し解析するためには、堆積物中を流れている電流を測定する必要がある。その方法として、堆積物中の鉛直方向の2点間の電位差(Electric Potential、EP)の微細分布を微小化した銀-塩化銀非分極電極を用いて測定する手法に着目し、微小EP電極の開発を始めた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年2月までに東京湾現場海域調査・堆積物試料採取・微生物解析手法確立後に自然環境下のEET微生物動態解析を計7回(8月~2月)繰り返し、平成25年3月までに研究対象であるEET微生物活性の自然環境下における時空間動態と調節要因を明らかにし、仮説の検証を行い成果取りまとめを行う予定であった。しかし平成24年8月から11月までの間、東京湾現場海域から堆積物試料を採取するために必須の研究協力者である調査船船長が事故による怪我で入院したため、研究対象であるEET微生物活性の時空間動態と調節要因についての研究を行えなかった
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今後の研究の推進方策 |
EETが実際に機能している実験堆積物コアを用いて、EETの具体的なメカニズムの解析と、自然環境下におけるEETの時空間動態を調節している環境要因の解明を目標に研究を進める。EETのメカニズムとしては、微生物、導電性(鉄)鉱物、及び微生物-鉱物ネットワークが考えられる。微生物としては、デンマーク オーフス大学のL. P. Nielsen教授らがCable bacteria(通称)と呼ぶ特異な微生物を発見しており、彼らとの密接な情報交換と協力により研究を進める。導電性(鉄)鉱物としてはmagnetite(磁鉄鉱)を最有力候補として想定しており、その影響を実験的に解析する。さらにEETが自然環境下において実際に機能していることをより直接的に証明するために、堆積物中の鉛直方向の2点間の電位差(Electric Potential、EP)の微細分布を、微小化した銀-塩化銀非分極電極(EP sensor)を用いて測定する手法を確立し、EP微小電極による現場測定を目指す。
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