研究課題/領域番号 |
23241013
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
本多 牧生 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, チームリーダー (20359160)
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研究分担者 |
金谷 有剛 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, チームリーダー (60344305)
滝川 雅之 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, チームリーダー (30360754)
笹岡 晃征 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (20371148)
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キーワード | エアロゾル / 生物ポンプ / セジメントトラップ / 複数仰角差分吸光分光計(MAX-DOAS) / エアロゾル形状・蛍光測定装置(WIBS4) / MODIS / 大気汚染物質輸送モデルWRF/Chem / 黄砂 |
研究概要 |
本研究は、海洋の生物ポンプにおける大気塵(エアロゾル)の役罰について考察するものである。平成23年度には以下のことを実施した。 1.生物ポンプにおけるエアロゾルの役割の把握 平成22年に西部北太平洋の観測定点K2とS1に設置した沈降粒子捕集装慨(セジメントトラップ)を回収し、約8ヶ月間12日間隔で捕集された沈降粒子中の(エアロゾルが主な起源と考えられる)陸起源物質の濃度を化学分析した。 その結果と平成21年度に得られた結果から、両観測定点とも陸起源物資の割合は水深4810mの沈降粒子中で20%程度であり大きな違いは見られなかった。 2.エアロゾル供給量の時空間変動の把握 大気から海洋への物質供給の時空間変動に関する知見を得るため、みらい航海において、自然/産業起源エアロゾルの収集/化学分析、および複数仰角差分吸光分光計(MAX-DOAS)による大気中NO2等の光学的測定を実施した。エアロゾル粒子は、2.5ミクロンを境として粗大・微小粒子を区別して捕集した。人為・自然起源別の寄与推定に必要な、各種水溶性イオンやV,Fe等微量金属の粗大・微小別の濃度分析結果を得た。また、エアロゾル形状・蛍光測定装置(WIBS4)では、土壌ダスト粒子を、散乱強度の非対称から非球形性粒子として選別観測できることを確かめた。 3.エアロゾル供給量の変動予測 観測定点K2とS1付近のエアロゾルの時空間分布を把握するため、NASAよりMODISの9kmメッシュ、Daily dataを入手し、2002年から2011年までのエアロゾルの季節変動を調べた。さらに両観測定点付近の植物プランクトン分布と物理環境との関係を調べるため、衛星マルチセンサー(海色、水温、日射、海面高度等)の画像解析も開始した。一方、現行の大気汚染物質輸送モデルWRF/Chemをベースに黄砂等の自然起源エアロゾル、アジア都市部からの人為起源エアロゾルの時空間変動を再現する輸送モデルを構築した。黄砂の卓越する春季における粗大粒子の大気中密度を隠岐および辺戸岬における観測と比較したところ、定性的によく一致していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海洋観測、大気観測は予定通り実施され、試料採取・データ解析は順調に実施されている。また衛星データの解析、大気モデルの構築の進捗状況も予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き海洋観測・大気観測を実施し、より多くの観測データを収集するとともに、衛星データの解析、数値モデルの構築を推進する。また本研究計画内容、結果速報を紹介するウエブサイトを開設する。
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