研究課題/領域番号 |
23241014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
渡邉 修一 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 所長 (00167131)
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研究分担者 |
中野 善之 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, 技術研究主任 (20566103)
脇田 昌英 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 研究員 (30415989)
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キーワード | 二酸化炭素収支 / 地球温暖化 / 海洋酸性化 / 南極海 / 二酸化炭素分圧測定 / 漂現場高頻度観測 / 漂流ブイ |
研究概要 |
平成23年度は平成24年度に向けて既存の漂流型二酸化炭素分圧測定装置(漂流ブイ)を南極海で長期に使用できるように仕様変更を行い、当初予定した10台を12台に変更し、部品購入、組み立てを行った。仕様変更によって部品の空間的な配置は以前より簡素化され、組み立てが容易になった。また、外観も単純化された。装置上部には通信のためプラスチックカバーを用いているが、その部分もかなり小さくなり、結氷時に氷による外部からの力を受け難い構造となった。 応答速度を上げるためこれまで検討してきた漂流型二酸化炭素分圧測定装置では計測溶液として純水にpH色素を溶かした溶液を用いて計測するが、海氷域で現場測定器を用いると零下になるため内部溶液が凍結し、測定ができない。そこで凍結防止に塩化ナトリウム溶液、塩化カリウム溶液を用いることを検討した。約30分で海水とほぼ平衡の二酸化炭素分圧を示すが、その後、アルカリ側へ変化する傾向を示し、長時間安定したデータが得られなかった。今後、この原因を探るとともに不凍液等を含めて凍結防止策についての検討を予定している。なお、応答時間はかかるが海水にpH色素を溶かした溶液を用いることによって南極海で計測が可能であることは既に検証済みである。 観測に用いる機器を工夫し、水深約10mで二酸化炭素分圧測定ができる機器を作り運用したところ運用海域で得られると思われる値と矛盾しない値が得られた。海況が安定した時期に漂流機器と工夫機器を同時に用いて表面と水深10mでの観測を行えば、船底から組み上げて測定した値と本研究に用いる漂流機器から得られる値の違いについて比較できる状況となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の主要な項目である漂流装置の製作は東日本震災の影響で漂流ブイ製作のための物品の調達の遅延、素材等の検討作業により組み立て、検定が遅れたが、平成24年度の作業に影響を及ぼすほどではなかった。観測に用いる観測機器を工夫し、水深約10mで測定簡易に測定可能であることが確認できており、平成23年度検討事項であった船舶での測定値と本研究に用いる機器によって得られる測定値の違いについての検討実験の準備を海況の安定した時に行う準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進んでいるため変更、遂行上の問題は特にないのでこのまま計画を進める。しかし、測定器の検討中に測定系に入れる塩を溶かした水溶液の種類によって色素の変色が起きることが見られており、この対処を行うための検討は継続して行う。なお、今回再検討して作られた装置は以前に比べて組立等が簡易になっており、二酸化炭素以外の測定への利用がより可能となっている。
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