研究課題/領域番号 |
23241014
|
研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
渡邉 修一 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 所長 (00167131)
|
研究分担者 |
中野 善之 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, 技術研究主任 (20566103)
脇田 昌英 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 技術研究副主任 (30415989)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 二酸化炭素収支 / 地球温暖化 / 海洋酸性化 / 南極海 / 二酸化炭素分圧測定 / 現場高頻度観測 / 漂流ブイ |
研究概要 |
南極海に漂流させる漂流型二酸化炭素観測装置(漂流型CO2ブイ)を組み上げ、陸上施設で調整・確認を実施後、平成24年12月4日から11日にかけ東経110度線に沿って南緯50度36分、53度、56度、59度付近で各2台ずつ、ケルゲレン海台西方の東経70度、南緯60度30分付近に3台の合計11台を砕氷艦「しらせ」よって海面に投入した。なお、投入した二酸化炭素観測装置の観測は5日に1日、3時間毎の二酸化炭素分圧測定を実施し、得られたデータを逐次アルゴス衛星を送信するように設定した。 漂流型CO2ブイから得られた二酸化炭素分圧は概ね期待される値を示しており、現在、品質管理を実施し、他の情報との比較をするための準備を行っている。 東経110度に投入した漂流型CO2ブイの中で最も東方へ早く移動したブイは南緯50度36分に放流した装置で、平成25年3月末において東経157度付近に達した。南緯56度、59度に投入したブイについては東経115度付近でほぼ同一の道筋となり、その後東方へ移動している。ケルゲレン海台付近で過去に実施した結果から予測していた移動速度に比べ、約2倍から3倍早く東方へ移動している。その理由として、これらのブイに生物影響を小さくするためドローグを付けていないため亜南極フロント付近の表層流よりも風の影響を強く受けていることが挙げられる。ケルゲレン海台西方に投入した機器の動きは割合遅く、3月末には海台の南側を漂流しており、海台の東西の違いを明らかにするデータが得られていることが期待される。 なお、船舶で観測される二酸化炭素分圧と本装置によって得られる分圧の差についての検討を実施するためや沿岸域で観測を繰り返し行うためには漂流型二酸化炭素観測装置に組み込まれている一次電池の代わりとなる二次電池を検討し、製作し、利用可能とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年12月に漂流型二酸化炭素観測装置を漂流させ、現在、データの取得を行っている状況にあり、申請時の計画にほぼ沿って実施されている。なお、データの解釈を勧める上で必要と思われる船舶で観測される二酸化炭素分圧と本装置によって得られる分圧の差についての検討については現場での検討に至っていないが、観測時期、用いる機器等の検討を進めているため必要に応じて今後実施していくことが可能である。
|
今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進んでいるため変更、遂行上の問題はないのでこのまま計画を進める。得られたデータの品質管理を実施し、データの公表と合わせて、当初の目的である観測頻度と二酸化炭素収支について考察する。なお、漂流型CO2ブイの移動が速いため単位面積当たりのデータ数が少なくなるため解析には多少の工夫が必要となる。その方策についても事前に準備をする必要がある。 本漂流実験に加え、二酸化炭素分圧測定とは別の測定を行う機器と同時に南極海で観測を行う機会を得られる可能性がある。その短期の実験に参加し、二酸化炭素変動の要因についてより広く知見を集める。これによって当初の目的である観測頻度と収支の見積りの正確さの関係に関しての理解をより深める。
|