研究課題/領域番号 |
23241015
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
坂本 竜彦 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (90271709)
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研究分担者 |
坂井 三郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限生物圏研究領域, 研究員 (90359175)
小栗 一将 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限生物圏研究領域, 研究員 (10359177)
岡田 誠 茨城大学, 理学部, 准教授 (00250978)
池原 実 高知大学, 自然科学系, 准教授 (90335919)
青木 かおり 立正大学, 地球環境科学研究科(研究院), 研究員 (30513163)
高橋 孝三 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30244875)
江崎 修央 鳥羽商船高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (30311038)
立花 義裕 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10276785)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 温暖期 / 太平洋 / 高緯度 / 温暖化アーカイブ / 古海洋学 |
研究概要 |
太平洋高緯度海洋の役割について、主としてベーリング海における古環境について,以下の成果が得られた.(1) 2009年の国際統合深海掘削計画323次航海で深海掘削によって得られた海底堆積物試料を用いて、ベーリング海における過去9万年間の高解像古環境変動を、酸素同位体、バイオマーカー等の環境プロキシを分析し,ベーリング海の気候変動は、北太平洋中層水(NPIW)の循環と密接な関連があること,(2)堆積物密度の変動を追うとダンスガード・オシュガー周期が見いだされ,ダンスガード・オシュガー周期の幾つかでは、海洋表層において高生物生産の特徴を示し、3-5℃の表層水温上昇と底層水の酸素濃度減少を伴っていること,(3)ベーリング海中層水は、氷期・間氷期のタイムスケールで変動していること.6万年前頃からベーリング海中層水は、新しく低塩分で現在よりも高酸素濃度を保持した状態で、融氷期の開始旗期まで持続したこと,(4)ボーリング・アレロード期には、ベーリング海掘削サイトU1340では高生物生産、酸素極小層の発達、脱膣が発生していたこと,浮遊性・底性有孔虫の放射線炭素年代の比較を行なうと、ベーリング海中層水は、現在よりもより高いベンチレーション(鉛直循環)を伴っていたこと.これはボーリング・アレロッド期には、ベンチレーションと酸素濃度の関係が解離していた事を示す。中層水の生成海域においては、生物生産支配の酸素濃度変化は、広く北太平洋海域で見られる低酸素化とおおいに関連すること.特に、ボーリング・アレロード期にはこの傾向は強かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者(坂本)の所属機関移動に伴い,2012年,試料,実験室などの移動や,研究費の移管などを行った.研究費の移管は2012年10月~2013年1月まで要し,新所属機関で使用可能となったのは2013年2月となった.また,密封放射線源を使用する,光ルミネッセンス年代測定装置,自然ガンマ線強度測定装置などは,放射線源の移動に伴う許認可(文部科学省)を必要としたため,研究費繰り越しを行ったが,2013年7月に認可がおり,2013年9月に移管を行い,装置調整を含め,その後,本格稼働となった,
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は以下の研究を推進した 1)年代測定に関しては,古地磁気層序(岡田),火山灰層序(青木),酸素同位体比層序(坂井・池原),放射年代法(小栗), 微古生物層序(高橋),を先行して行い,装置の移管の終わっていない,光ルミネッセンス年代は,装置移管後に集中して行う事にする.2)当初計画では,過去の古水温の定量的な復元法である有孔虫のMg/Ca比古水温を測定する予定であったが,酸素同位体比測定に絞って測定を実施するようにする.3)堆積物コアの透過X線画像イメージの画像解析ソフトウェアを使い,海氷プロクシによる海氷復元を集中的に行う.4)非破壊蛍光X線スキャン,透過X線画像イメージング,拡散分光反射能イメージング,帯磁率などの非破壊コア計測を継続して行う.5)生物ポンプ・環境プロクシの測定を継続して行う.6)可能な部分から成果の公表を行っていく
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