研究課題
沿岸底生生物の実生息環境の二酸化炭素分圧変動を明らかにするために、琉球大学瀬底研究施設のサンゴ礁域で沿岸海水の二酸化炭素分圧変動を1年間にわたり連続計測した。高水温期で300~400ppm、低水温期で200~300ppmの日周幅であり、実験で適用している200~400ppmの日周変化幅が適切と分かった。現場海水を直接計測する方法を実現させ、施設の貯水槽から供給される海水を測定した従来の結果より大きな変動幅であった。沿岸底生生物の実生息環境の二酸化炭素分圧の日周変化を模擬する二酸化炭素制御飼育系を用いて生物飼育実験を行った。クシハダミドリイシの初期ポリプを、二酸化炭素分圧が300~500ppmの範囲で一定に調整された条件と、300 ppmと500 ppm間を変動する日周変動条件に、10日間暴露した実験では、ポリプの成長に対照区と各条件区で有意な差がみられなかった。サザエ浮遊幼生の変態とそれを誘起する有節サンゴモの関係を明らかにする実験では、サザエ幼生の奇形率は海水中の二酸化炭素分圧の増加に伴い上昇するが、二酸化炭素分圧が1400 ppm以下であれば有節サンゴモの藻体とサザエ幼生に対する変態誘因能には、日周変動の有無にかかわらず影響が認められないことが明らかとなった。海洋酸性化の沿岸底生生物への影響評価を高度化するために、飼育条件の良い大流量かけ流し方式で二酸化炭素分圧を制御する屋外飼育系を、投げ込み平衡器式二酸化炭素分圧計測と海水・二酸化炭素の正確な混合系の組み合わせで設計・設置した。琉球大学瀬底研究施設で、装置を利用して造礁サンゴを飼育し、サンゴの石灰化率を解析した。クローンサンゴ片を用いた実験では、酸性化海水への応答が群体間で有意に異なる結果が得られ、今後の海洋酸性化が種内の遺伝的多型の変化を引き起こしうる可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)
Marine Biology
巻: 161 ページ: 1127-1138
10.1007/s00227-014-2405-y
Zygote
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1017/S0967199414000185
海洋と生物
巻: 207 ページ: 339-346
http://www.cger.nies.go.jp/ja/news/2014/140516.html
http://setoblo.blogspot.jp/