研究課題/領域番号 |
23241021
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 賢志 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80124577)
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研究分担者 |
小林 純也 京都大学, 放射性生物研究センター, 准教授 (30301302)
加藤 晃弘 京都大学, 放射性生物研究センター, 研究員 (70423051)
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キーワード | NBS1 / ATM / RAD18 / RNF20 / FACT / 相同組み換え修復 / 非相同末端再結合 / レポーター遺伝子 |
研究概要 |
放射線感受性遺伝病ナイミーヘン症候群の蛋白として同定されたNBS1には、そのC末側に高等真核生物で良く保存された5領域が存在する。このうち2領域はATMおよびMRE11と結合してそれぞれ細胞周期チェックポイントと相同組換え修復を制御する事が既に報告されている。我々の最新の研究から残りの2保存領域に結合する蛋白はユビキチンE3リガーゼのRAD18およびRNF20である事が明らかになった。本研究ではこれらのユビキチン化酵素のDNA二重鎖切断における役割および5番目の領域の意義を明らかにすることを目的とする。 転写の研究から、RNF20はヒストンシャペロンFACTと結合することが知られている。そこで、免疫共沈法を用いて解析した結果、FACTの構成因子Spt16とRNF20が放射線照射依存的に結合することが判明した。放射線照射によりRNF20がフォーカスを形成することを以前に報告したが、Spt16蛋白のノックダウンによりRNF20フォーカスが消失した。このことから、Spt16がRNF20と結合して、放射線照射により発生したDNA二重鎖切断部位に動員することが明らかとなった。一方、DR-GFPレポーター遺伝子を用いてこれらのNBS1領域を欠損した細胞の相同組み換え修復能を測定した。この結果、MRE11領域のみならず、RAD18ならびにATM領域の欠損による相同組み換え能が顕著に低下することが示された。続いて、pEJレポーター遺伝子を用いて非相同末端再結合を測定した。驚いたことに、チェックポイントに関わるATM結合領域の欠損により非相同末端再結合能が低下した。現在までに、非相同末端再結合経路へのATMの役割は知られてないので、さらなる解析が必要である。最後に、5番目の領域が欠損した幾つかの詳細な欠損変異体を作成した。この領域はATM領域に隣接しており、欠損変異体はATM欠損細胞と類似していた。しかし、異なる点も見られるので次年度以降の解析が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者および2名の分担者の各項目につついて、研究実績の概要に記載したように順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って遂行する。
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