研究課題/領域番号 |
23241025
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 次雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90091694)
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研究分担者 |
殷 しゅう 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40271994)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 赤外線遮蔽材 / タングステンブロンズ / 二酸化バナジウム / 金属イオンドープ酸化亜鉛 / ナノ粒子 / 温熱療法 / 可視光透明性 |
研究実績の概要 |
ソルボサーマル反応による均一形態で分散性の良いタングステンブロンズナノ粒子の合成方法を開発し、優れた熱線遮蔽特性と可視光透明性を実証できた。また、タングステンブロンズナノ粒子は赤外線を吸収し、熱エネルギーに変換することを見出し、癌の温熱療法への適用を考え、正常細胞には取込まれず、癌細胞にのみ選択的に取り込むことが可能な20-100 nmの粒径のタングステンブロンズナノ粒子の合成条件を明らかにし、得られたタングステンブロンズナノ粒子を癌細胞に取込ませた後、赤外線照射により発熱させると、癌細胞のみを40℃以上の温度に加熱し死滅させることができることを実証した。 二酸化バナジウムは温度誘起の相転移を生じ、高温では太陽光の赤外線を遮蔽し、低温では赤外線を透過させるサーモクロミック特性を示すことから、高温(夏)時には太陽光の室内への入射を遮蔽し室温上昇を防ぎ、低温(冬)時には太陽光の赤外線を室内へ有効に取り込むことが可能な、環境調和型スマートウィンドウへの応用を期待し、可視光透明性の高い二酸化バナジウムナノ粒子の合成条件を探索し、ゲルのソルボサーマル反応により二酸化バナジウムナノ粒子の合成が可能であることを見出した。 金属イオンドープ酸化亜鉛は導電性および赤外線遮蔽特性を有することから、ソルボサーマル反応による透明酸化亜鉛薄膜の合成について検討し、種結晶法により優れた可視光透明性と高い導電率を有する酸化亜鉛薄膜の合成条件を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソルボサーマル反応によりタングステンブロンズと二酸化バナジウムのナノ粒子合成条件を明らかにし、優れた可視光透明性と赤外線遮蔽特性を有することを実証できた。 オレイン酸を表面修飾剤として用いるソルボサーマル反応により、癌細胞へ選択的に取り込み可能な粒径20-100 nmのタングステンブロンズナノ粒子の合成条件を明らかにし、癌細胞に取込ませた後赤外線レーザー光を照射し発熱させ、癌細胞を死滅可能であることを実証できた。 ソルボサーマル反応により、優れた可視光透明性と伝導性を有する酸化亜鉛薄膜の合成条件を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
二酸化バナジウムに種々の金属イオンをドープし、相転移温度を制御し、環境応答型スマートウインドウ材としての特性向上を図る。 酸化亜鉛薄膜に種々の金属イオンをドープし、赤外線遮蔽特性の向上を図る。 タングステンブロンズ、金属イオンドープ二酸化バナジウム、金属イオンドープ酸化亜鉛とシランカップリング剤を分散したガラス質硬化剤を調製し、優れた可視光透明性と熱線遮蔽特性を有するガラス質薄膜の調製条件を明らかにする。 5年間の研究を総括し、優れた熱線遮蔽材の設計指針を明らかにする。
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