研究課題/領域番号 |
23241026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田路 和幸 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (10175474)
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研究分担者 |
高橋 英志 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (90312652)
佐藤 義倫 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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キーワード | イオウ / 次世代エネルギー / 光触媒 / 硫化水素 / 水素 / フラーレン |
研究概要 |
水素は次世代エネルギー源として有望視されているが、現状では化石燃料から製造されておりクリーンエネルギーとは言い難い。光触媒により水を分解する事で水素を製造できるが効率は低いことから、我々は水の1/4程度のエネルギーで分解可能な硫化水素からの水素製造を目指した新しい硫化物型半導体材料を研究開発している。しかしながら、化石エネルギーからの水素製造と価格的に対抗するためには、研究項目(1)光触媒製造の低コスト化(Pt代替材料の開発)、研究項目(2)廃棄物イオウ化合物の処理と水素製造の実現、そして研究項目(3)付加価値の高いイオウ金属化合物への転換の各研究項目が、相補的に推進できる研究開発が必要である。 ここで、硫化水素から水素は容易に製造できるが、副産物のポリ硫化物イオンの系外への除去無くして実用化は達成されない。硫化物系イオンの一般的除去法(金属硫化物形成手法若しくは中和法)はエネルギー収支が負となるため利用できない。また溶液条件(塩基性)のため固体表面への吸着除去も不可能である。一方、我々を初め様々な研究者により、炭素クラスターの代表であるC_<60>は高い電子受容特性および高い硫黄親和性を有することが報告されている。また強アルカリ溶液中でも化学反応しないという特徴を有している。そこで本研究では、この特徴ある方法の本システムへの適用方法を検討し、光触媒反応の媒体であるアルカリ水溶液を消費せずにイオウクラスターをアルカリ水溶液から除去する新規手法を構築することを検討し、ポリ硫化物含有水溶液とフラーレン含有有機溶媒の液-液界面において反応すること、反応速度がフラーレン溶液の濃度と相関を有する事、液々界面電荷移動ボルタンメトリー法による電気化学的分析から、油水界面近傍において、フラーレンと硫化物イオンが酸化還元反応を進行していること等を明らかとした。 その他の研究項目に関しても、着実な進展が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、研究を3つの要素に分割して進展を図った。そのうち、研究課題(2)及び(3)に関しては、基礎的な技術開発については十分に達成され、成果を論文として纏めている状況にある。これらの検討課題に対しては、反応機構の解明等を残すのみとなっている。研究課題(1)についても研究の方向性は明らかとなっている。以上より、順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題(2)及び(3)については、現在執筆中の論文の投稿を完了する。その上で、更に詳細な反応機構解析を行い、研究完了を目指す。研究課題(1)については方向性の具体化を行い、実際に硫化物系光触媒材料への応用展開を行う。
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