研究課題/領域番号 |
23241026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田路 和幸 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10175474)
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研究分担者 |
高橋 英志 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (90312652)
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イオウ / 次世代エネルギー / 光触媒 / 硫化水素 / 水素 / フラーレン |
研究概要 |
水素は現状では化石燃料から製造されており、次世代エネルギーではあるが、クリーンエネルギーとは言い難い。そこで光触媒反応により、自然エネルギーを水素エネルギーに変換する研究開発が精力的に行われているが、分解ポテンシャルが高いため、効率は低い。そこで我々は水の1/4程度のエネルギーで分解可能な硫化水素からの水素製造を目指した新しい硫化物型半導体材料を研究開発している。しかしながら、化石エネルギーからの水素製造と価格的に対抗するためには、①光触媒製造の低コスト化(Pt代替材料の開発)、②廃棄物イオウ化合物の処理と水素製造の実現、③付加価値の高いイオウ金属化合物への転換の各研究項目が、相補的に推進できる研究開発が必要である。 前述のように、硫化水素を被反応物質とする事で水素は容易に製造可能であるが、ポリ硫化物イオンの副産が実用化の障害であった。硫化物系イオンの一般的除去法(金属硫化物形成手法若しくは中和法)はエネルギー収支が負となるため利用できない。また溶液条件(塩基性)のため固体表面への吸着除去も不可能である。そこで我々は、炭素クラスター類(フラーレン類)と硫黄との間の強い親和性を利用し、光触媒反応の媒体であるアルカリ水溶液を消費せずにイオウクラスターをアルカリ水溶液から除去する新規手法を構築することが可能であることを明らかとした。この有機溶媒-水の界面における反応機構を液々界面電荷移動ボルタンメトリー法により電気化学的に検討し、油水界面近傍において、硫化物イオン-フラーレン類-酸素、の間で触媒的な酸化還元反応が進行していることを明らかとした。 回収した硫黄の硫化水素への変換手法、光触媒反応の活性向上手法、反応サイトの低コスト化(白金代替材料開発)等についても、着実に進展している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、研究を前述の実績概要で述べている①~③の3つの要素に大きく分割して進展を図った。そのうち、②及び③に関しては、基礎的な技術開発については十分に達成され、成果を論文に纏め、学会発表を精力的に行っている。①の白金代替材料は実用化に不可欠であるが、助触媒の最適な状態を明らかとし、代替材料の開発を進展中である。以上より、順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
②及び③については、現在更に執筆中の論文を投稿し、硫黄循環機構を確実に達成する。全体像についての発信も精力的に行う。現在進行中の課題①の早期達成を目指し、イオウを利用した環境調和型水素製造システムの開発を完了させると同時に、硫化物系光触媒材料への応用展開を行う。
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