研究課題/領域番号 |
23241028
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
乾 秀之 神戸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90314509)
|
研究分担者 |
殷 熙洙 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (60343828)
鶴田 宏樹 神戸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20346282)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 有害化学物質 / 植物 / バイオテクノロジー / 環境技術 |
研究概要 |
1.ウリ科植物由来のPOPs吸収に関わる根滲出物の探索・同定 b. 根滲出物生合成・分泌関連遺伝子の単離・・・次世代シークエンス技術を用いてウリ科植物の根に発現する遺伝子を調べたところ、有機酸の合成に関わるいくつかの遺伝子の発現が品種間で異なっていることが判明した。 2.ウリ科植物由来のPOPs体内移行に関わる導管液成分の探索・同定 b. 導管液成分生合成・分泌関連遺伝子の単離・・・脂溶性物質への結合活性が認められた導管液タンパク質Major latex-like protein(MLP)の遺伝子について品種間の発現パターンを調べたところ、ダイオキシン類の高蓄積性能に相関して増加するMLPと減少するMLPが見つかった。 c. 同定した導管液成分のPOPs吸収に与える影響評価・・・MLPを導入した形質転換植物における脂溶性物質の蓄積性能を評価するために、MLP導入形質転換植物を作出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.ウリ科植物由来のPOPs吸収に関わる根滲出物の探索・同定 ダイオキシン類の蓄積性能が異なるウリ科植物品種間で発現の異なる遺伝子を複数同定することができた。 2.ウリ科植物由来のPOPs体内移行に関わる導管液成分の探索・同定 数十年来原因が分からなかったウリ科作物が脂溶性汚染物質によって汚染されやすいという現象について、我々が同定したウリ科植物に存在している脂溶性物質結合タンパク質の存在を証明することによりその原因を解明することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2.ウリ科植物由来のPOPs体内移行に関わる導管液成分の探索・同定 d. ウリ科植物の導管液に含まれる成分の機能解析・・・導管液に存在するタンパク質の遺伝子を取得し、大腸菌においてそのタンパク質を大量発現させる。これを結晶化し、3次元構造を解析する。POPsとのドッキングモデルの作製により、POPsのウリ科植物における蓄積との関連を調べる。 3.根滲出物、導管液成分を利用した高感度ファイトモニタリング、高性能ファイトレメディエーションシステムの開発 a. 根滲出物、導管液成分によるファイトモニタリングの高感度化・・・組換え型AhRを介したダイオキシン類汚染ファイトモニタリング系を導入した組換えタバコ並びにシロイヌナズナをダイオキシン汚染土壌で栽培し、同定した根滲出物や導管液成分を添加する。レポーターであるGUS活性を指標として、土壌中のダイオキシンを高感度で、しかも安定的にモニタリングできるか調べる。特に、GUS活性の増加が汚染土壌中のダイオキシン濃度に依存するか、添加成分の量に依存するか調べる。 b. 根滲出物、導管液成分によるファイトレメディエーションの高性能化・・・POPs高吸収ウリ科植物をダイオキシン汚染土壌において栽培し、その際同定した根滲出物や導管液成分を添加する。植物中のダイオキシン濃度を定量し、これら成分の添加効果を評価する。 c. 根滲出物、導管液成分生合成・分泌遺伝子導入組換え植物によるファイトモニタリング及びファイトレメディエーションシステムの確立・・・単離した根滲出物、導管液成分生合成・分泌関連遺伝子をAhR系導入組換えタバコに形質転換する。これら組換え植物をダイオキシン汚染土壌で栽培することにより、ファイトモニタリング性能並びにファイトレメディエーション性能を評価する。
|