研究課題/領域番号 |
23241029
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大橋 晶良 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70169035)
|
研究分担者 |
金田一 智規 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10379901)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | バイオリアクター / 排水処理 / 資源回収 / 微生物群衆解析 / 難培養微生物 / 環境浄化 / 窒素循環 / 温室効果ガス |
研究概要 |
増殖速度が遅くて,バイオリアクター内に保持することが困難な難培養微生物を高濃度に培養できれば,これまで不可能と思われている環境技術の創生が可能となる。下水の嫌気性処理(UASB法)の後段処理として開発されたDHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターは,保持微生物の高濃度化が可能であり,汚泥滞留時間が途轍もなく長い。このDHSリアクターを用いることで,エアレーションを要さない省エネ・低コストで,リン等の資源回収や特殊な排水処理等への適用拡大が想起され,本研究はこれら新規の環境技術を確立することを目的としている。本年度は各開発技術に対して次の知見を得た。 1)溶存メタンの回収:嫌気性処理水中には生成したメタンの一部が溶存している。DHSリアクターを用いて,この溶存メタンの大気放散を防止するとともに,回収してエネルギー利用する操作方法を明らかにし,実下水を用いて溶存メタンの回収性能を評価した。 2)低pH硝化: DHSリアクターを用いた好酸性の硝化性能を向上させるために,メタン酸化細菌と硝化細菌の共培養が有効であることが分かった。 3)温室効果ガス・亜酸化窒素とメタン同時分解:メタンを資化して亜硝酸塩を還元するメタン脱窒菌を酸素の混入がない上向流型リアクターで連続培養を試みたが,本反応は確認できるも増殖が確認できるような培養条件を見出すまでには至らなかった。 4)富栄養化湖,河川からのリンの回収:塩濃度が変化する汽水に対して,DHSリアクター内のスポンジ担体にポリリン蓄積細菌を集積培養することができ,溶液中のリンを高濃度リン含有液として回収できることを明らかにした。 5)亜硝酸化とアナモックスの同時反応窒素除去:一槽のDHSリアクターでの亜硝酸型硝化/Anammox型窒素除去において,酸素濃度が低い場合は強温室効果ガスの亜酸化窒素が生成しやすいことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに研究を実施しており,目的の成果をほぼ得ている。ただし,亜酸化窒素とメタンの同時分解細菌については増殖速度が遅い,あるいは培養条件が適切でないと考えられ,集積培養には時間を要するため,来年度も継続して培養を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
DHSリアクターを用いて難培養微生物を如何に培養するかが本研究の核心であり,今後も継続して培養を実施する。従って,研究計画に変更はなく,遂行する上での問題は特にない。
|