研究課題/領域番号 |
23241037
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
湯田坂 雅子 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究チーム長 (70159226)
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研究分担者 |
岡崎 俊也 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究チーム長 (90314054)
池原 譲 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 研究チーム長 (10311440)
小倉 睦郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (90356717)
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キーワード | 臨床検査 / カーボンナノチューブ / 近赤外発光 |
研究概要 |
本研究では、血球などに対して透過性が高い近赤外光を使い、臨床検査の高度化を目指している。その実現のために、近赤外発光特性をもつ単層カーボンナノチューブ(SWCNT)に抗体を付加した新規プローブの作製、ELISAによる疾病バイオマーカーの検出法最適化、さらに、近赤外発光計測に最適な計測機器の開発を行っている。研究開始当初、SWCNTへの抗体付加に際し、従来法を適用したところ、SWCNTの構造・特性が従来化合物と大きく異なることが原因で、様々な問題が生じた。そこで、従来法に改良を加え、また、SWCNT-抗体化合物作製の成否判定においても従来法を改良して検討を行った。その結果、IgG抗体、アビジン系化合物など、モデル化合物のSWCNTへの付加が安定して行えるようになった。得られたIgG-SWCNT化合物は、プロテインG付き磁気ビーズで回収可能であり、回収したIgG-SWCNTは、SWCNTの近赤外発光およびラマン散乱スペクトル測定により確認できた。成果発表は、特許1件、学会発表1件、論文投稿準備中1件となっている。 SWCNTを用いた臨床検査装置に適した高感度近赤外光検出システムに関しては、光ディテクタと半導体レーザーを長さ15㎝幅、奥行き5cm程度の小型モジュールに組み込み、カーボンナノチューブからの蛍光を検出するための装置を開発した。一般的に、光検出器は受光面積が狭い方が感度の点で有利となるが、バイオ関連の液体試料や生体試料の場合、数mm以上の範囲から発光を効率よく検出する必要がある。そこで、受光面積7㎜x9㎜内に、256x320素子を形成したPDアレイを作製し、受光面積を拡大した。この素子は、各素子の分離に不純物拡散による静電ポテンシャル障壁を利用しているため、開口率が高く効率的な受光が可能となる。 以上、23年度の計画は概ね完了することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度当初の問題は、試行錯誤の結果解決することができた。23年度に計画した内容は、半年延長した結果、遅れは取り戻せた、24年度分として計画した実験も9月の時点では順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
24年度以降に計画している3項目のうち、「単層カーボンナノチューブと抗体化合物を用いた全血実測による検討」に関しては、ヘモグロビンを用いた実験が終了している。今後は、検出感度を上げるために、ブロッキング剤の開発、近赤外臨床検査装置(プロトタイプ)の構築を進める。
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