現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年8月から、外層CNTに内包したCNTカプセルに正電荷を付与するために、CNTカプセルに金属(Sc)を内包させ、ScからCNTカプセルに、次いでCNTカプセルから外層CNTへと負電荷が移動し、CNTカプセルが正に荷電することを期待して実験を進めた。Sc内包CNTカプセルを外層CNT内部に内包した状態を製作するプロセスは、Sc内包フラーレン(Sc3N@C80)と単層CNTをガラス管を加工して製作したアンプル中に真空封入し、650℃で5時間加熱する方法を採用した。しかし、目的とする物とは全く異なった物質が創製された。プロセス改善のため、その再現性を確認した後、この物質の構造と組成分析を行った。その結果、Sと金属(Fe, Co, Ni)との合金のナノサイズロッドが筒状SiCに封入された新物質であることがわかった。意図していない元素のS, Fe, Co, Niがどこから入ってきたのかを特定した。Fe, Co, NiはCNT合成に使われた触媒金属由来であり、Sは基板に用いたグラファイトに含まれていた不純物であることが明らかになり、Sがこの構造を作る上で重要な働きをしていると結論付けた。この結論を得るのに時間を要したが、これを基にプロセスを見直して問題を解決することができた。
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