研究実績の概要 |
①爆発の発生限界(爆発限界)の予測手法の確立 今年度は,爆発発生の予測の具体的な解析として,閉鎖管内における高圧水素自着火シミュレーションを実施した.これまでに構築してきた水素の詳細反応機構を用いたNavier-Stokes方程式による流体解析技術により,特に閉鎖管内における障害物位置と高圧水素圧力の影響を調べた.障害物の存在により,反射衝撃波が発生し,それが干渉することで,高温源の生成へとつながる.これらの高温源が接触面と干渉することにより高圧水素の自着火が誘起されることが明らかになった.また,障害物の相対位置の変化により,より低圧でも着火が可能になるメカニズムがあることを明らかにした. ②爆発被害の影響度評価手法の確立 (a)火炎の不安定性解析: 前年度までに構築した方法を用いて,爆発シミュレーションで用いられる総括反応モデルの検討を行った.水素、メタンおよびプロパンと空気の混合ガスを対象とし,火炎伝播中の加速現象を再現できるような総括反応モデルを構築した.こ れらの総括反応モデルを用いれば,火炎の不安定性による伝播速度の上昇を精度よく再現でき,ガス爆発事故の被害予測の精度向上につながると期待される. (b)爆発実験:今年度は,ガス爆発によって破壊される容器から発生する爆風圧の影響度について調べるため,様々な強度を持った容器を用いたガス爆発実験を行い、容器周囲の爆風圧を測定した.その結果,ガス爆発では燃焼反応を伴うため,既往の高圧気体による容器の破壊に伴って発生する爆風圧モデルよりも上回ることが明らかになった.
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