研究課題/領域番号 |
23241055
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 隆之 東京大学, 地震研究所, 助教 (90221887)
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研究分担者 |
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 火山 / リモートセンシング / 東アジア / 防災 / ウェッブ |
研究実績の概要 |
日本列島を含む東アジア地域には多数の火山が分布するが,これらの多くは恒常的な観測体制が敷かれていない.東アジア-とくにその遠隔地-の活火山の観測データ収集と防災に資するため,我々は,衛星による観測システム構築と運用に取り組んでいる. 本課題は,新世代衛星の画像データの導入,解析方法の工夫により,この観測システムの高度化を図ることを主目的としている. 本年度は噴火推移のデータベース構築について検討を行った.噴火推移のデータベースに関連して,まず,衛星データで観測される熱異常の時間変化パターンや噴煙の発生状況と関連付け,その多様性の把握と分類に関する検討を行った.その1つの推移タイプとして「連発プリニー噴火を主とする活動」の推移について,サリチェフ火山2009年噴火,新燃岳2011年噴火を取り上げ,分析を進めた.この結果,「連発プリニー噴火を主とする活動」では,熱異常の時間変化パターンが急増-漸減のパターンとなり,このピークとなる時期にプリニー噴火の発生時期が対応することが判った.このタイプの噴火推移では,共通して,噴火前/火道の閉塞状態(ときに小噴火を伴う) → 最盛期/連発プリニー噴火の発生 → 最盛期~終息期/溶岩の噴出 → 終息期/連続的な噴煙の発生(ときにブルカノ噴火の断続的発生を伴う)といった推移を辿る.このような経過が,このタイプが急増-漸減の熱異常の時間変化パターンを示す原因となっていると考えられる.このような熱異常の時間変化パターンを手掛りに,衛星データから連発プリニー噴火を主とする活動を識別することも可能である.一方で,連発プリニー噴火を主とする活動では,プリニー噴火と並行して発生する火砕流/溶岩流の有無,終息期おける多数回のブルカノ噴火発生の有無等の相違点に基づいて,いくつかのバリエーションに細分できる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの研究により,噴火推移のデータベース化や分類等に関する基本的な分析・処理様式を確立することができた. とくに,「連発プリニー噴火を主とする活動」ではその特徴と細分に関して大筋を掴むことができた.ただし,本年度実際に検討したのは「連発プリニー噴火を主とする活動」に留まっている.
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今後の研究の推進方策 |
噴火推移の多様性の把握と分類およびそのデータベース化を進めるためにに,残された研究期間内に,溶岩ドームを中心とする活動の推移,ブルカノ噴火を中心とする活動推移等の良く見られるタイプの活動推移の事例を複数解析し,それらの特徴を明らかにする.この際,とくに噴火に先行して現れる特徴的な熱異常変化等の抽出を進める.また,そのような特徴的変化を衛星リアルタイム観測システムで即時捉えることにより,噴火予知に繋げるられるような仕組みの構築を進める.
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備考 |
衛星による東アジア活火山のリアルタイム観測の結果を即時公表するサイト
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