研究課題/領域番号 |
23241062
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小笠原 直毅 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10110553)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 核様体 / 大腸菌 / 枯草菌 / シュードモナス / GeF-seq |
研究概要 |
1) コンジュゲーションを利用したシュードモナスの遺伝子破壊を続行しているが、効率よく遺伝子破壊株を取得する系を確立できていない。現在までに、spo0J遺伝子破壊株が構築でき、同時に、他の破壊株についても、遺伝子破壊の確認作業を続行している。構築したspo0J遺伝子破壊株に関しては、表現系の解析を行っている最中である。2) 大腸菌の核様体タンパク質H-NSには、DNA結合ドメインを持たないホモログ、Hha, YdgTが存在する。これらのホモログは、これまでの解析から、H-NSと共に機能することが示唆されていたが、実際に核様体タンパク質として、機能するかどうかは確認されていなかった。そこで、N末端にヒスチジンタグを持つHhaを大腸菌内で発現させ、そのゲノム上の局在をChAP-chip法により確認し、H-NSのゲノム上の局在と比較した。その結果、Hhaタンパク質はH-NSと相互作用し、ゲノム上に局在していることが明らかとなった。3) ChIP-chip解析に比べ、解像度の上昇したGeF-seq法を用い、枯草菌の主要な核様体タンパク質、HUのゲノム上の局在を確認した。現在、このデータを元に、GeF-seqデータの解析システムを構築している。今後、このシステムで解析する枯草菌・大腸菌の核様体タンパク質、DnaA、Noc(枯草菌)、SlmA、HU(A and B)、IHF(A and B)(大腸菌)についてはHisタグを、DnaA、Lrp、Fis、Crpに関してはFlagタグをC末端側に挿入した株の構築を完了した。4) 大腸菌には、枯草菌のHUと機能が重なる可能性のある、HU, IHFおよびFisが存在している。これらのタンパク質の2重欠損株を作成し、表現系を解析したところ、核様体構造が著しく不安定になり、核の分配が正常に行われないことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、次世代シーケンサーを用いた新たなDNAタンパク質の結合プロファイルの解析手法を構築し、それを用いて、まず枯草菌のHUタンパク質のゲノム上の結合プロファイルの解析を行った。GeF-seq法により、DNA-HU複合体の精製、ライブラリーの作成、シーケンシングを終了し、そのデータを用いて、システマティックな解析に対応するための結合プロファイル解析手法を構築中である。また、大腸菌、枯草菌の核様体タンパク質に関するGeF-seq解析用のHisタグおよびFlagタグ付加株の作成は、多くの核様体タンパク質について完了しており、順次、サンプルの調整と次世代シーケンシングを行う予定である。新規な核様体タンパク質の解析に関しては、大腸菌のDNA結合ドメインを持たないタンパク質である、HhaおよびYdgTに関して、ChAP-chipによって、その機能を解析した。その結果、DNA結合ドメインを持たないこれらのタンパク質は、DNA結合ドメインを持つ核様体タンパク質であるH-NSおよびStpAと相互作用して、核様体に局在することが明らかとなった。このことから、DNA結合ドメインを持たないタンパク質に関しても、核様体タンパク質の候補となりうることが分かった。さらに、シュードモナスに関しては、Spo0J欠失株を作製した。現在、この株を用いて表現系の解析を行っている。大腸菌のHU, IHFおよびFisタンパク質に関しては、2重欠失株を作成し、表現系を確認した。その結果、HUとIHFの欠失株の変異は、枯草菌のHU欠失株と同様、ほとんど生育ができなかった。FisとHUおよびFisとIHFの2重欠失株の顕微鏡観察では、核様体構造が野生型株に比べ、大きく変化し、さらに、染色体分配も正常に起こっていないことが明らかとなった。これらを総合し、おおむね順調に進んでいるとした。
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今後の研究の推進方策 |
1) 核様体タンパク質結合プロファイルの体系的解析:現在行っている枯草菌HUタンパク質の解析を速やかに終了させ、GeF-seq法による、DNA結合タンパク質のマッピング手法を確立させ、枯草菌・大腸菌に関しては、核様体タンパク質とゲノムDNAとの詳細な結合マップをシステマティックに行い、マップを完成させることを大きな目標とする。大腸菌においては、HU、H-NS、IHF、Fis、SlmA、MukBおよびDnaA等を、枯草菌においてはHU、Noc、SMCおよびDnaA等について、マッピングを進め、両者の比較を行う。2) シュードモナスの核様体タンパク質欠失株の構築とタグタンパク質発現株の構築:シュードモナスに関しては、現在行っている方法でも核様体タンパク質の欠損株が構築でき始めたことから、それを続行する。同時に、タグタンパク質発現株の迅速な構築のために、確実な遺伝子破壊とHis-tag付加の新たな方法の構築を試みる。3) シュードモナスの核様体タンパク質のマッピング:タグが付加された核様体タンパク質の発現株が確立でき次第、GeF-seq法によるマッピングを行う。特に、HU, Spo0J, DnaA等、複製および染色体分配に関係するものを特に重視して解析を進める。4) シュードモナスの核様体タンパク質欠損株を用いた表現系の解析:シュードモナスの核様体タンパク質の欠失株の表現系について、詳しく解析する。特に、核様体構造の変化、染色体分配の異常、細胞分裂の異常等、核様体構造の異常と生育阻害に関係する表現系について確認する。5) 核様体構造変化に付随したトランスクリプトームの変化の解析:特に核様体構造の変化が大きい変異株に関しては、RNA-seqによりトランスクリプトーム解析を行う。
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