研究概要 |
1) 次世代シーケンスを用いた新たな解析システムの構築: 我々が独自に開発した高解像度ChIP-seq手法であるGeF-seqは、ゲノムDNA上のDNA結合タンパク質結合領域を高解像度で決定することが可能な解析手法である。本手法を用いて、大腸菌および枯草菌ゲノムDNA上の様々な核様体タンパク質の結合領域を高精度かつシステマティックに決定するための、新たなマッピングプログラムを構築した。また、次世代シーケンサーを利用した新たな解析手法の開発も継続して行った。2) 核様体タンパク質とゲノムDNAの結合プロファイルのシステマティックな解析:枯草菌の核様体タンパク質HU, DnaA, Noc, Spo0J、大腸菌の核様体タンパク質HU, IHF, Fis, H-NS, SlmAの結合プロファイルを、GeF-seqを用いてシステマティックに決定し、その結果を基にして、枯草菌・大腸菌の核様体タンパク質の認識配列をゲノムワイドかつ高精度に決定した。この結果を用いて、枯草菌と大腸菌の核様体タンパク質の結合様式と機能の比較を試みた。3) シュードモナスの核様体タンパク質の欠失株の構築:核様体タンパク質欠失株のシステマティックな構築を試みたが、Spo0JおよびIHF欠失株しか構築できていない。大腸菌、枯草菌の解析から、HUあるいはH-NSの欠失株については、生育が不可能(あるいは非常に生育が遅い)な可能性がある。4) 大腸菌・枯草菌の核様体に含まれるタンパク質の同定:核様体に含まれるタンパク質をホルマリン処理により核様体に固定した後、変性条件下で核様体を精製し、そこに含まれるたんぱく質を質量分析により検討した。核様体タンパク質とともに、大腸菌・枯草菌ともに多くの膜たんぱく質が分離され、細菌種を超えて、核様体が細胞膜と相互作用していることが強く示唆された。
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