研究課題
本研究ではタンパク質の翻訳後修飾糖鎖のひとつで,アスパラギンに対する翻訳後修飾糖鎖であるN-グリカンの合成および機能解析を行っている.特に,がんをはじめとする様々な病気との関連が報告されているコアフコース含有糖鎖,バイセクティンググルコサミン含有糖鎖の合成を行った.また,ラットの脳で発見された非還元末端にシアル酸を2つ含む4糖構造(ジシアリルモチーフ)も合成した.前年度までの知見に加え,シアル酸含有糖鎖の合成においてはシアル酸5位がNHAc体のものでは反応性が低いのに対し,NAc2体に誘導することで反応性が劇的に向上することを見出した.これは,NHAc体では分子間で水素結合を形成し,反応性が低下していることが原因であることが示唆された.また,αマンノシル化反応において,4位の保護基がグリコシル化の立体選択性に影響を与えることも見出した.これらの知見を利用し,上記のコアフコース含有12糖,バイセクティンググルコサミン含有8糖,ジシアリルモチーフの骨格構築を達成した.さらに,コアフコース含有12糖およびジシアリルモチーフに関してはその脱保護にも成功した.上記に加えて,コアフコースの機能解析のために,コアフコースを形成する糖転移酵素であるFUT8の阻害剤の開発も行った.酵素反応を測定するアッセイ系を構築して,約33000化合物に対してハイスループットスクリーニングを行った結果,8個の阻害剤を得,その中から,ファーマフォコアの同定に至った.さらに構造活性相関を進めることで,現在までに数μM程度でこの酵素を阻害する化合物を得ている.上記で合成した糖鎖や糖転移酵素の阻害剤を用いて糖鎖の機能解析も進めている.前年度までに確立したPETイメージングを用いた動物個体に対する分泌タンパク質の動態解析に加え,膜タンパク質の糖鎖機能を解析するシステムを構築した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (33件) (うち招待講演 4件)
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